Alternative Viewpoint 第13号 2020年10月30日 前号(AVP 第12号)で述べたとおり、尖閣諸島の実効支配を強化しようとすれば、日中の武力衝突につながる可能性が高い。だとすれば、我々は「日中が尖閣をめぐって武力衝突すればどのような事態になるのか」についての相場観を持っておく必要がある。それがないままに実効支配の強化を叫ぶことは〈匹夫の勇〉以外の何ものでもない。 尖閣問題を考える第2弾となる本号では、公刊情報を用いながら「日中戦争が起きたときの帰結」を想定してみたい。 尖閣有事のシミュレーション 尖閣諸島をめぐる日中有事の帰結は、米国や中国にとっても重大な関心事である。米軍も中国軍も詳細な机上演習――“war game”の和訳としてこの言葉を使っている――を行っているはず。残念ながら、我々にその内容を直接知る術はない。だが幸いなことに、米国ではシンクタンク等が軍