金田一春彦 1950. 「国語動詞の一分類」,『日本語動詞のアスペクト』.麦書房,1976年.pp. 5-26. 国語動詞に於ける四類型の存在 (pp. 6-9) (…)第一種の動詞は,「動作・作用を表わす」と言うよりも寧ろ「状態を表わす」と言うべき動詞で,通常,時間を超越した観念を表わす動詞である.例えば,「机がある」「我が輩は猫である」の「ある」,「英語の会話が出来る」の「出来る」などがこれに属する.一般の動詞は下に「――ている」をつけていわゆる現在の状態を表わすものであるが,この種の動詞は「――ている」をつけることがないのを特色とする.即ち,動詞とは言うものの動詞らしからぬ,形容詞に近い動詞であって,過去の学者の中には鈴木朖(「言語四種論」)のごとく形容詞の中に入れたひともあった.これを状態動詞と呼ぼう. 第二種の動詞は,明瞭に動作・作用を表わす動詞であるが,但しその動作・作用は,あ