激突したい。何かに。勢いに身をまかせてぶつかり、全身を揺さぶられたい。 私は高校生のときにラグビーをしていた。痛いし汚れるしもうやりたくはないが、ボールを持って誰かにぶつかるときの気持ちよさが忘れられない。肺が縮んで空気が押し出され、身体の芯が揺れ、がちんと歯の根が鳴るあの衝撃が。衝撃と痛みが全身を震わせ、苦しさに倒れ込みたい気持ちを抑えながら前に進む。あの感覚はラグビーでしか味わえない。 また、車に轢かれたときのことも思い出す。海外で交通量の多い道路を手を挙げて渡っていたら、止まってもらえず弾き飛ばされた。大きな外傷はなくなんともなかったが、車のあの人間とは比べ物にならない丈夫さに「かなわない」と思い、身の程を知らされた。そのときの衝撃はラグビーのそれを上回り、勝てない相手にひざまずく気持ちよさもあった。 だから、 やわらかい壁に激突したい! やわらかい壁とは まず衝撃を受け止めるやわら