■FM革命に見るイノヴェーションの失敗 「ジングルだらけだ。そしてヒステリックに陽気なDJ。お決まりのイケイケなテンポ...。この10年、TOP40が席巻してAMラジオは死んだ。電波で死臭が垂れ流されている」 ベテランDJのトム・ダナヒューはローリング・ストーンズ誌でこう言い放ち、革命運動に入った。といっても、政治運動ではなく、音楽放送の革命だ。 1960年代末になるとTOP40フォーマットは供給過多となった。これは、ヒット曲に対する「満足度過剰」をもたらした。 同時にヘヴィーな音楽ファン、つまりハイエンド層の「満足度不足」を刺激(※)。新たなイノヴェーションの下地が生まれた。 (※ 「持続的イノヴェーションのもたらす満足度過剰が別の領域で満足度不足を引き起こす」というのは、クリステンセン教授の理論ではなく、筆者の持論だ) アメリカで起きた「FM革命」は、こうした中で進行した。 FM自体の