金子良事『日本の賃金を歴史から考える』を読了。評判通り非常に勉強になった。 日本の賃金を歴史から考える 作者: 金子良事 出版社/メーカー: 旬報社 発売日: 2013/11/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (6件) を見る 現在の社会不安が語られる際には、労働の外にあったり、労働を支えたりする社会保障、社会福祉の領域に焦点が当たることが多いけれど、労働の対価たる「賃金」がいまどうなっているかということを歴史的な布置の中において理解することもとても大切で。 逆に言えば、農村のセーフティネット機能と男性正社員モデルの両方が崩壊した後の時代に、個々人の生活を長期的に支えることができる雇用・賃金の仕組みが出来上がっていないことが、社会保障への大きな期待と、結果としてそれに応えることができない国家への不満を招いている。 気を緩めると徐々に落ちていく「降格する貧困」の