たとえば「気迫さえあれば、竹槍でB29ぐらい余裕で撃墜できる」なんて怒鳴る軍人がいたとして、その人に「具体的に気迫を見せて下さい」と言ったら、たぶん殴られる。実際にB29が来たとして、竹槍構えて、撃墜できなかったら、やっぱり「気迫が足りない」と怒鳴られる。気迫はどこにも見えないのに、それは「ある」ものであって、それを根拠、現場は怒鳴られたり、殴られたりする。 自分たちの業界には、「ない」ことになっているんだけれど明確に「ある」、責任というものがあって、毎年何人か、これに潰されて仕事を辞める。 責任の重さ たとえば80歳の高齢者が敗血症になってショック状態で、今すぐ処置しないと死んでしまうぐらいに具合が悪くても、診る側は案外楽で、医学的なベストを尽くすことに集中できる。「責任」なんてものを意識する人は、たぶん少ない。 ところが20歳ぐらいの若い人が、発熱と咳が2週間続いて、「息が少し苦しいん