行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。世の中にある人とすみかと、またかくの如し。 からはじまる鴨長明『方丈記』はひろく知られている日本語の古典文学の随一だろう。この文章の出典が、東洋の聖書とも称される超有名な初期仏教経典、『法句経』の一節から取られているということをご存じだろうか? 私はこの説を佐竹昭広『萬葉集再読asin:4582352316』ではじめて知った。 万葉集再読 作者: 佐竹昭広出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2003/11メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る 佐竹氏が校注を担当された岩波新日本古典文学大系『方丈記 徒然草asin:4002400395』では、「ユク河ノナガレハ、絶エズシテ、シカモモトノ水ニアラズ。」に次の註が添えられている。 往く川の流れは瞬時も留ることなく