17日に76歳で亡くなった藤田まことさん。「てなもんや三度笠」のあんかけの時次郎役でブレークして以降、必殺シリーズの中村主水、「はぐれ刑事」の安浦吉之助と、テレビ史に独自のキャラクターを刻んできたまさに「仕事人」。数十億円ともいわれる巨額負債や大病も持ち前のねばり強さではね返してきた。戦争経験者らしく、反戦への思いも人一倍強かった。 06年に出演したテレビ番組では「コメディアンでした」と自らを称した藤田さん。その持ち味は「てなもんや三度笠」で開花。定番の「あたり前田のクラッカー」は、番組を知らない世代でも耳に覚えがある名コピーだ。 一方、強烈なイメージのため、それ以降は役が付かない不遇に見舞われた。中村主水のオファーを受けたのは週末営業のキャバレーで。「嫁としゅうとにいびられる情けない男の役。みんな断ったから私に来たんです」と語っていた。支えは、1年ほどたった時の京都撮影所での故三隅研次監