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ブックマーク / geopoli.exblog.jp (13)

  • なぜ知識人は独裁者が好きなのか | 地政学を英国で学んだ

    新年あけましておめでとうございます。2018年もがんばって行きますのでブログともによろしくお願いします。 From Benito Mussolini to Hugo Chavez: Intellectuals and a Century of Political Hero Worship, by Paul Hollander 連続殺人で有罪となり収監された殺人犯は、実は自分の犯罪歴しか知らない女性たちから求婚されることが多い。この奇妙な現象が示しているのは、自己欺瞞が人間の行動の決定にどこまで深く染み込んでいるかという事実だ。 このような求婚をしてしまう女性というのは、「この殺人犯の心の奥底には人知れぬ善い面があり、自分だけがそれを表に引き出すことができる」と考えているとみられる。 よって彼女たちは、「自分は他の女性とは異なる<違いのわかる女>であり、連続殺人犯に対する一般女性の態度は退

    なぜ知識人は独裁者が好きなのか | 地政学を英国で学んだ
  • 反共闘士 リー・クワンユーの地政学的意味 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部はなんとか晴れて気温もあがりましたが、午後から曇ってまた寒くなりました。 さて、日早朝に亡くなった「世界の偉人」であるリー・クワンユーですが、私が翻訳したロバート・カプランの『南シナ海:中国海洋覇権の野望』というの中に、彼が歴史的に果たして地政学的な役割について触れられた興味深い箇所がありましたので、その部分を抜き出しておきます。 当時の共産主義との闘いが興味深いです。 『南シナ海:中国海洋覇権の野望』第五章:pp146-49. シンガポールの中華系の人々は、「大躍進」や「文化革命」などの犯罪が明るみに出る前までは、毛沢東と赤化した中国のことを非常に誇りに思っていた。 彼らは占領者であるイギリスの仮面に隠れた西洋の植民地主義を嫌っていたが、同時のその占領者がシンガポールの人々に仕事をもたらしていたことを、リー・クワンユー自身は強烈に覚えている。シンガポールで労働運動を引起

    反共闘士 リー・クワンユーの地政学的意味 | 地政学を英国で学んだ
  • 日本のネットユーザーたちはISISを打ち負かしている? | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部はよく晴れましたが、夕方から曇り始めました。寒さは少し柔いだような。 さて、遅ればせながら、いわゆる「ISISクソコラグランプリ」案件について、海外で最初にネット上で評価した英文記事を要約してみたいと思います。 掲載されているのはアメリカのマイナーなニュースサイトなのですが、日のネットユーザーたちの勇気ある行動(?)を絶賛しております。 すでにネット上ではこの記事の一部が訳されているようですが、ここではちょっと長めにご紹介します。 この記事については今夜の生放送(http://live.nicovideo.jp/gate/lv205843016)でも詳しく解説してみたいと思っております。 === ISISのプロパガンダにたいする日のくだらない反応は、アメリカ政府が達成できなかったことを達成してしまった。 by E.A. ウェイス ISISは日から人質解放の身代金として2

    日本のネットユーザーたちはISISを打ち負かしている? | 地政学を英国で学んだ
  • 地政学が無視される3つの理由 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部はまたしても朝から快晴。さすがに朝の冷え込みは厳しくなってきました。 さて、私は「地政学」(geopolitics)という学問を長年粛々と研究しているわけですが、その経験からつくづく感じるのは「国際政治の分析では【地理】の要素が軽視されている」ということです。 地理(geography)というのは、人間の生活のすべての分野において関わってくる必要不可欠な要素であり、これが国家や国際政治のレベルになると、さらにその重要性が増してくることはブログをお読みの皆さんならば簡単にご理解いただけると思います。 ですが、なぜかメディアや専門家の分析でも、この要素を意識したものをあまり見かけません。ではなぜこのように「地理」が軽視されるのでしょうか? 私は、大きくわければ三つの理由があると考えております。 ▼理由その1:ドイツ地政学のイメージの悪さ これはなんと言ってもナチス・ドイツと、そ

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  • 「ソーシャルメディア」は昔からあった? | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は曇りがちでしたが、それでも雨はほんの少し降った程度でした。過ごしやすいですね。 さて、ブログのもう一つの大きなテーマである「テクノロジーと社会の変化」というテーマで久々に面白い記事が出てきましたので要約を。 === 17世紀の「ソーシャル・ネットワーキング」 By トム・スタンデージ ●ソーシャルネットワークは「生産性の敵だ!」として批判されている。 ●あるサイトの調査によれば(といってもその正確さについては議論はされているが)、FacebookやTwitterをはじめとするサイトの使用によるアメリカ経済全体のコストの無駄は年間6500億ドルにものぼるという。われわれの集中力は阻害され、テストの点数は下がるのだが、これらはすべてこのような「大量破壊兵器」のせいだというのだ。 ●ところがこのような懸念は前にも出てきたことがある。1600年代のイギリスでは、これと似たような新

    「ソーシャルメディア」は昔からあった? | 地政学を英国で学んだ
  • ヨーロッパで高まる戦争の予感?その1 | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部は朝からずっと雨です。 どうやら午前中に日の会社が冠スポンサーになっているマラソン大会があったようで、宿泊先の目の前の道路ではランナーたちが観客たちの声援と拍手を受けて必死に走っておりました。 さて、こちらでもちょっと話題になっていた論説記事の内容を、二回にわけて要約します。 イギリスではドイツを中心としたユーロ体制には不満が大きいようで、イギリスはユーロから離れるべきだという意見が私の周辺でもけっこう聞かれます。 ====== ドイツが再び大戦争を勃発させる? by ドミニク・サンドブルック ●世界は歴史の曲がり角に立っている。莫大な経済力が国際政治の風景を作り替えているからだ。イギリスでは首相が何度も迫る危機に翻弄されており、海外ではヨーロッパの中心からアジアの端にいたるまで経済力を持った大国が台頭している。そして歴史上最大の新しいドイツ帝国の誕生もささやかれている

    ヨーロッパで高まる戦争の予感?その1 | 地政学を英国で学んだ
  • アメリカの世界観:その2 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部はまだ晴れておりますが、天気予報だと今夜から雨/雪だとか。 さて、クリストファー・レインの『幻想の平和』を参考にして、またアメリカの世界観について。 例のごとく第六章の重要なエッセンスの部分だけを出血大サービスで以下に要約としてまとめておきます。 もちろんもっと詳しく知りたいかたはぜひご購入のほどを! ==== ●リベラル派のイデオロギー(ウィルソン主義)では、国際的に経済がオープン(門戸開放)されている状態であることが国際政治において「自然」な状態であり、これが平和と安定をもたらすものだと示唆されている。 ●ところがこれは現実からはあまりにかけ離れている。なぜか。 ●「国際政治で経済的にオープンな状態」というのは、そもそもある覇権国が意識的に創設した場合にのみに発生するものだからだ。 ●オープンな経済に必要なのは以下の四つ。 ①地政学的動揺のない国際政治の状態 ②安定的な政

    アメリカの世界観:その2 | 地政学を英国で学んだ
  • 「行列で待つこと」についての心理学 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜北部は相変わらず昼間が真夏日です。洗濯物には最高かと。 さて、久しぶりに記事の要約です。今回は心理学に関するものですが、これはビジネスなどにかなり応用が効くものかと。 たとえば以下に出てくる鏡の例などは、ビジネスマンや経営者向けのセミナーなどではよく使われる例ですね。私も自分の新刊に似たような例を書きました。 これも「手先」や「技術」による絶対的な数値の改善ではなく、あくまでも人間の心理をうまく使ったシステム的な「抽象度の高い解決法」ということでヒントになるものです。 === なぜ「行列で待つ」のは拷問なのか by アレックス・ストーン ●数年前のことだが、ヒューストン空港の幹部が、利用者からの多くのクレームに直面して困ったことがある。 ●それは、「飛行機からの荷物を受け取るテーブルのところでやたらと待たされる」という利用客からの不満だった。 ●これに対応するために、この幹部たち

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  • ジェレミー・ブラックの来日記念講演会:報告 | 地政学を英国で学んだ

    今日の横浜はくもり空で、朝からかなり冷え込みました。冬ですね、これは。 さて、すでに告知した通り、日は午後からあのジェレミー・ブラックの講演を聞いてまいりました。 ブラック教授といえば、戦略学や軍事史を英語圏で勉強したことがある人なら必ず読んだことがある、現代トップレベルの軍事史家であります。 もともと幅広い時間の概念と文化を越えた幅広い知識をつかって縦横無尽に議論を展開することに定評があり、得意の軍事史の他、世界史や外交史、それに地理や地図と政治の関係(そして地政学)など、実に多くの分野に関するを書いております(私のオススメのはRethinking Military HistoryとGeopolitics)。 人の口から聞いて驚いたのですが、彼の出版したはすでに百冊を越えているとか。もちろんネタがかなりかぶっているものがあるので、全体的なクオリティーの劣化が心配されるところです

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  • ブキャナンの「民主制度拡大反対論」 | 地政学を英国で学んだ

    今日の甲州はよく晴れまして、気温もぐんぐん上昇しました。完全に春を通り越して、午後にはまるで初夏のような雰囲気に。明日で「春分」ですから、時の流れるのは当に速い。 さて、久々にアメリカの言論人の意見を。 パット・ブキャナンといえば、知る人ぞ知るアメリカの保守派の言論人ですが、この人がアメリカの「民主制度を世界に拡大する」という政策の矛盾をついた興味深いコラムを書いております。これって、ネオコンに対する強烈な当てつけともいえますな(笑) 彼の論点は、あくまでも「国益を守ること」にあることを念頭に置きながら読むと、色々な気づきがあります。 ======== The God That's Falling by Pat Buchanan ●先日のことだが、FT紙のコラムニストであるギデオン・ラックマンが「アメリカは自由世界を失いつつある」というショッキングなタイトルのコラムを書いていた。 ●その

    ブキャナンの「民主制度拡大反対論」 | 地政学を英国で学んだ
  • カプランの講演の内容 | 地政学を英国で学んだ

    今日の甲州は昼まで晴れていたのですが、午後から曇りまして、現在は雨がシトシト降っております。それにしても気温は高めでした。 さて、昨日お約束したカプランの講演会のご紹介ですが、すでにあるサイトのほうではバッチリ紹介されていたので、このサイトの主の方に許可をいただいてはりつけさせていただきました。それではご覧下さい。 ======= インド洋をめぐる地政学 アジア、特に中国とインドの軍が飛躍的に近代化して、インド海軍は世界第3位の軍事力になるし、中国は世界第2位の軍事大国になっている。日の軍事費もGDPの1%であるが、123隻の艦艇を持ち、英国の艦艇はここ20年で42隻から29隻に減少したことを考えると、軍事能力は大きい。このようにアジアの軍事力は増大している。 経済能力が向上して、それに伴い軍事能力も増大しているのが分かり、先端技術を軍近代化にどんどん採用している。このようなことで、軍事

    カプランの講演の内容 | 地政学を英国で学んだ
  • パナマ運河の新しい地政学 | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部は朝からけっこう晴れたのですが、また寒波がきたようで、日差しは強かったのですがとにかく震えるほど寒かったです。 さて、今日は先日のグワダル港の話題に引き続いた「地政学的」な話題として、パナマ運河について少し。 例のごとくポイントフォームでいきませう。 ======== Panama Canal revamp boosts China and puts Buffett’s railway bet at risk by Leo Lewis ●パナマでは今日からある工事が始まる。 ●これは日とラテンアメリカ諸国の資金によって行われる、韓国が建造したデンマークの会社が持つ世界最大の船も通過できる運河の拡張工事だ。しかしこの工事で最大の恩恵を受けるのは中国である。 ●パナマが乾季に入ったと同時に始められたこの運河拡張工事は52.5億ドルかかるものであり、ウォーレン・バフェットが3

    パナマ運河の新しい地政学 | 地政学を英国で学んだ
  • グワダル港の地政学:インド海軍からの視点 | 地政学を英国で学んだ

    今日のイギリス南部は朝から気持ちの良い快晴でしたが、とにかく気温が低くてビックリしました。また寒波のようです。 さて、今日も「地政学」な話題を。 インド洋や「真珠の首飾り」戦略についてです。インドの新聞の意見記事ですが、彼らの危機感がよくあらわれております。 ====== The games at Gwadar January 29th, 2010 By Arun Kumar Singh ●去年のことだが、中国のある退役した提督が、アデン湾における中国海軍の対海賊作戦が行われて一年がたったことから、そろそろこの海域に中国海軍が使える港が必要であるということを発言した。 ●現在中国海軍の船は母港から4万5千海里離れたアデン湾で四ヶ月から半年間、どこの港にも立ち寄らずに操業している。 ●中国がインド洋域(IOR)で基地を求めていることは国際的にも注目されているので、北京政府はこの提督とは距離を

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