光市殺人事件の弁護団に対する懲戒請求が各地の弁護士会に大量に申し立てられています。その大きな原因がテレビのコメンテーターらの弁護団批判であり、とりわけ橋下弁護士の扇動が大きく影響しています。 私は今回の橋下弁護士の言動はきわめて問題だと考えています。皆さんのなかには突然これまでの自白を翻すような弁護方針を採った弁護団こそ悪者であると考えている方が多いのかも知れません。被害者のお気持ちに共感して弁護団に憤りを感じている方も多いのかも知れません。しかし、いつも説明に苦労するところですが、刑事事件における弁護人は被告人のために弁護活動をする唯一の存在です。警察や検察によって犯罪者とされたものが本当に罪を犯しているのかいないのかを裁判所で適正に判断してもらうのが近代法治主義です。その手続きにおいて被告人の防御のために活動する唯一の存在が弁護人なのです。弁護人は裁判官と同じ行動を取ってはなりません。