世間は秋葉原通り魔事件の話題で持ち切りだ。この事件を知った時、私はたまたま昨年末に買い込んで途中まで読みながらその後ほったらかしにしていた雨宮処凛(かりん)の『生きさせろ!』(太田出版、2007年)の未読だった後半部分を読み終えたばかりだったせいもあって、「また格差社会の犠牲者が出たな」と思ったし、直ちに連想したのは3月に起きた岡山駅プラットホームからの突き落とし事件だった。秋葉原も岡山駅もともに私にとってはなじみ深い場所である。 この種の事件が起きたからといって、いまどき「自己責任論」を振り回す人などほとんどいないだろうと思っていたのだが、2ちゃんねらーのようなネット右翼だけではなく、社民主義者を自称する人たちの間にまで自己責任論が蔓延しているのを知って、ちょっとショックを受けた。ネオリベにダマされている人はかくも多いのかと、暗澹たる気分になったのである。 日本をこんな国にしてしまったA