北宋、南宋の時代には貴族勢力が衰退し、遼や西夏といった北方民族に対抗する必要から政治に対する関心が高まり、仏教に変わって儒教が勢力を盛り返しました。 そして、道家思想や仏教哲学の影響を受け入れた形而上学的な性質を持った新しい儒教哲学が生まれました。 これを総称して「宋学」と呼びます 宋学の主要な思想家は、11Cの北宋の4人の思想家、周濂渓、張横渠、程明道、程伊川と、彼らを影響を受けてそれを統合的に体系化した12Cの南宋の朱子です。 周濂渓は道家思想、易経、五行思想の影響を受けて独自の流出論を儒家思想の中に導入しました。 これによると、宇宙は「無極→太極→動静→陰陽→五行→万物」と順に展開します。 そして、人間が宿す太極を「誠」と呼びました。 人間の中の太極は本来「静」ですが、外界と触れて「動」が生じると善悪が発生します。 この「動」が生じる瞬間を「幾」と呼び、この時に「静」を基盤にして私欲