兵庫県宍粟市出身の前田浩・熊本大学名誉教授(81)は、米国の情報会社がノーベル化学賞の有力候補に選んだがん研究の第一人者だ。今年4月に出版した「ウイルスにもガンにも野菜スープの力」(幻冬舎)が話題を呼ぶ。それによると、がん予防はもちろん、新型コロナウイルスの免疫力を高めるためには野菜スープが効果的だという。コロナ対策はいまや全人類の関心事だ。また、神戸新聞宍粟支局で子育て中のわが家としては、世界的研究者の素地を育んだ宍粟での子ども時代も気になるところ。今月、熊本から帰省すると聞き、会いに出掛けた。(古根川淳也) -がんに高分子物質が集まる「EPR効果」の発見でノーベル賞候補に名前が挙がりました。患部を狙い撃ちする抗がん剤に応用できるそうですね。 「がん組織の血管は穴だらけで、分子量の大きな物質が漏れ出して蓄積します。この性質がEPR効果です。これを薬剤に利用すると、局所的にがん組織にのみ作