非科学主義信仰はグローバルな宿痾(しゅくあ) 『非科学主義信仰 揺れるアメリカ社会の現場から』著:及川順を 熊谷徹さんが読む 著者である及川順記者が本書の中で指摘しているように、非科学主義信仰は米国の金属疲労を理解するためのキーワードだ。 フェイクニュースの浸透と軌(き)を一(いつ)にする非科学主義信仰は、米国をはじめとする国々でポピュリズムを拡大してきた。及川記者がこの現象にルポの焦点を合わせたことは、極めて正しい判断だと思う。 私が住んでいるドイツも例外ではなく、一部の市民の間で非科学主義が広がりつつある。2020年以降マスク着用の義務化やワクチン接種に反対する市民が、抗議デモを繰り広げた。政府のコロナ対策に批判的な人々は、極右勢力と接点を持ち始めている。 たとえば2020年8月29日には、ベルリンで約3万人がコロナ対策に抗議するデモに参加したが、その内数百人が連邦議会議事堂に突入を図