乙武: 僕は日頃から講演などで、全国津々浦々、様々な場所を訪れる機会があるんです。大都市圏だけでなく、過疎の進む地域に行くことも少なくありません。そういう時、人口の少ない村にすごく立派な会館が建っていたりすると、以前は正直、税金の使い所に疑問を感じることもありました。でも、開沼さんの『フクシマの正義』を読んでから、少し考えが変わったんです。そういった批判めいた考え自体が、都心に住む人間ならではの視点であって、すでにズレているのではないかと。 (中略) 開沼: そのあたりは、乙武さんが日頃から発言されていることにも通じますよね。臭いものにふたをするのでは何も解決しない、と。 乙武: その通りです。たとえば「障害者」という言葉。新聞などで最近は「障がい者」と、「害」の字をひらがなにする傾向が高まっています。これには、「害」というネガティブな漢字を使うことで、障害者を傷つけるんじゃないかという配