かつて東京都世田谷区の下北沢駅周辺の日常風景だった「開かずの踏切」が姿を消したのは、今からちょうど10年前、2013年3月のことだ。駅から北東に約70メートルのところにある踏切は、ラッシュ時に1時間のうち40分以上閉まり住民を悩ませていたが、駅の地下化に伴い撤去された。この踏切から徒歩10分ほどに住む三山幸子さん(67)は「ずっと待たされてイライラしていた。今は便利になった」と振り返る。 線路や踏切が地上から消え、街は大きく変わった。昨年5月に線路跡地を活用した下北線路街が全面開業するなど、再開発の大きなポイントになった小田急線の地下化は、沿線住民の意見が反映されたものだった。この運動に参加した元区議、木下泰之さん(69)は「(地下化は)住民の勝利といえる」と話す。