「科学は万能ではない」 なんと攻撃力のある台詞だろう。 聞くたびにこっちが恥ずかしくなる。 だって、そんな当たり前のことを、得意げに言われても困るではないか。 今回、「ホメオパシー」が糾弾されたことでオカルティストたちが怒ってこの台詞をあちこちで言うものだから、聞く機会が増えた。 もう、恥ずかしいやら腹立たしいやらで、勘弁してくれよという感じなのだ。 想像してみよう。 札幌駅の南口T字路か、あるいは東京とか大阪のどこでもいいが、拡声器を持った男が立っている。 「みなさん、聞いてください!…1+1は2だったのです!」 誰もが困惑し、目を伏せてそちらを見ないようにして通り過ぎることだろう。 あるいはちらりと街頭の温度計に目をやるかもしれない。 そして「ああ、やはりな」と呟くのだ。 言われた方が恥ずかしくなるとは納得のいかない話ではあるが、恥というものは客観の極致に見えて