■ 母と子の絆 ―ボウルビィの愛着理論― 乳児は母親から栄養を与えられ、温かい世話を受けます。一方、母親は乳児から微笑と発声と注目を受けます。幼い子供は母親にすべてを依存し、母親との接触を喜びます。また、母親は子供に愛情を注ぐことに喜びを感じます。このようにして母子は相互に満ち足りた感情を維持してゆきます。 この母子間の相互関係ないし「絆」のことを「愛着」(アタッチメント=attachment)と言います。 さて、動物は皆、生まれながらにして自分の生命を守る能力を身に付けていますが、ボウルビィ(J.Bowlby)は人間も同様に、泣き叫ぶ、微笑む、しがみつく、発声するといった生得的行動によって母親を自分に引き寄せ、母親と接触していることにより、安全を確保するのだと言い、これらの生得的行動が基になり、母と子の「愛着」(アタッチメント)が形成されると提唱しました。そして、ボウルビィは「愛着