「ザトウクジラの母子の絆を見たくてたまりませんでした」と、高橋さんは振り返る。それまで、サメ、マンタ、ギンガメアジなど、いろいろな種類の海洋生物を撮影してきたが、ザトウクジラと泳いだことはまだなく、じかに見たいと願っていた。「クジラに夢中になっていきました」と高橋さん。 そこで、2日間の短いシュノーケリング旅行を計画、ザトウクジラが出産する久米島周辺の海域で、シュノーケリング参加者の小さなグループに加わった。天候は穏やかで、泳ぐには好条件だった。クジラと参加者両方の安全を確保するため、できる限り静かに水に入る、動きを最小限にとどめる、動物と安全な距離を保つといったコツを、熟練のガイドが丁寧に教えてくれた。 ザトウクジラの親子を見たいと大きな期待を抱いて久米島を訪れる人は多いが、出会いが保証されているわけではない。幸運にも初日に高橋さんは、メスのザトウクジラと子クジラと一緒に泳ぐことができた