「日本独自のライセンシー保護法制や職務発明制度がグローバルなオープン・イノベーションの妨げになっている」。経済産業省・産業組織課長(前・技術振興課長)の奈須野太氏はこのように指摘する。日本がグローバルなオープン・イノベーションを展開していくには,まず法制度の国際調和が必要であると強調する。その上で,「ソフトIP」という考え方を通じて,審査の重複や翻訳コストの増大といった「特許爆発」問題の解決策に言及するなど,将来の特許制度見直しの方向性を見通す。 本稿は2009年10月17日に政策研究大学院大学で行われた奈須野氏の講演「知識と組織の法制度の未来」を,経済産業省・技術振興課長補佐(弁護士)の伊達智子氏が要約したものである。本稿中の提言は奈須野氏の個人的提言であり経済産業省として決定したものではない。 日本がグローバルなオープン・イノベーションを展開するには,法制度の国際調和が必要である。とこ