なぜ172分なのかバンドの歴史をどう語り終えればいいのか、作り手が困惑しているような映画でした。1987年に結成された日本の音楽グループ、フィッシュマンズのドキュメンタリー作品『映画:フィッシュマンズ』は、ほぼ3時間(172分)という長尺で、バンドの歴史を追ったフィルムです。現メンバー、元メンバーや関係者のインタビューを中心に、レコーディング時の映像、テレビ出演の様子、ライブでの演奏シーンなど、熱心なファンでも見たことのないフィッシュマンズの姿が数多く収められていますが、鑑賞前に私が気になったのは上映時間の長さでした。音楽ドキュメンタリーで3時間は長いのではないか。実際に見終えてみて、この尺になった必然性はよく理解できたのですが、同時に、映画としてどのように着地すればいいのか、172分の時間を使っても「これでフィッシュマンズというバンドを語り終えたことになるのか?」と苦悩する作り手の心情が