ぶれている。根拠のない有能感によって人を見下す若者を批判しようとしているのだが、そもそも有能感や自尊心といったもの自体が根拠のないものといえるから、若者の人の見下した態度を責める根拠にはなりえない。優越感や自尊心といったものは、なにを根拠に、またはモノサシで立ち上げられるのか、ひじょうにむずかしい。 この本は著者の若者に無視された経験をもとに実証研究がまぶされた、科学的装いをまとった「ウサ晴らし本」である。「おまえたち、若者はなんでそんなにエラソーなんだ」「根拠はあるのか」ということである。要は著者がかかわる「学校をないがしろにするのはけしからん」ということだが、学校なんてもとからサービス業なはずだし、子どもは大人を尊重するがゆえに大人たちとべつの「場」をつくり、大人は「違う人」だと切り分けるから、大人はいろんなところで相手にされないと思うんだけどな。 他人を無視した見下す若者の出現を、悲