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ブックマーク / kaikaji.hatenablog.com (39)

  • 香港リベラル派知識人のチベット論 - 梶ピエールのブログ

    世界各地で聖火リレーへの抗議行動が起こり、それに対して中国国内からの愛国主義的な反発が強まるという現象が繰り返され、事態はさながら「文明の衝突」の様相を見せている。チベット人に同情的な国際世論と一般的な漢民族の意識とのギャップは絶望的なほど大きい。しかしながら、漢民族の知識人の中には、少数ではあるが冷静かつ真摯にこの問題に向き合おうとしている人々も確実に存在している。 アモイのPX工場建設反対活動などで有名な連岳氏のブログはその代表的な存在だろう。同氏のブログでは少数民族の読者が心情をつづったメールが紹介されたり、民族問題をめぐる過去の中国政府の姿勢の矛盾が批判されたりと、いわゆる「愛国主義」とは明確に距離を置いた、リベラルで活発な議論が展開されている。 その連岳氏のブログに、香港出身の知識人、梁文道氏による「チベット問題の最大公約数」と題する論説が寄稿されている。これはチベット問題の歴史

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  • 『進撃の巨人』と「単一権力社会」 - 梶ピエールのブログ

    中国、「脱近代」の誘惑 ――アジア的なものを再考する (homo viator) 作者: 梶谷懐出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2015/06/06メディア: 単行この商品を含むブログ (19件) を見る 下のエントリでも少し触れていますが、この度出版することになった拙著の見が届きました。今週末(6月6日)ぐらいから書店に並び始めるのではないかと思います。編集担当の赤井茂樹さんが太田出版に移ってから開設されたhomo viatorシリーズの、(あの國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)』に続く)2冊目のということになります。出版社の紹介ページと、目次は以下の通りです。 http://www.ohtabooks.com/publish/2015/06/06102743.html 日中の安全保障上の緊張と、いま復活しつつある脱近代の思想「アジ

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  • 「一般意志2.0」と「公共性」をめぐって - 梶ピエールのブログ

    一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル 作者: 東浩紀出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/11/22メディア: 新書購入: 14人 クリック: 581回この商品を含むブログ (164件) を見る さて、すでにかなり話題になったこのについて、従来からの「公共性」への問題関心に引きつけて自分なりに考えをめぐらせてみたので、とりあえずまとめてみたい。その前に、このについては既に多くの人がネットで論じており、たとえば山下ゆさんによるまとめなどはわかりやすく、僕としても大筋では異論がないので、まず以下に引用しておこう。 http://d.hatena.ne.jp/morningrain/20111212/p1 まず、ルソーが一般意志を導くときにコミュニケーションの役割を否定していることに注目します。 第4章で検討されているように、これはかなり大胆な考えです。アーレントあるいはハーバ

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    lotus3000
    lotus3000 2014/05/22
    "「公共性」の概念を東アジアで「共通認識」に近いものにものに鍛え上げて行くにはどうしたらいいのか、といった課題を考え抜く方に賭けたい、という気がしている。"
  • 会社派、土着派、エセ和僑−日中を語る際の「もう一つの倫理」− - 梶ピエールのブログ

    この記事は「「中国論」の論じ方」および「「普遍性」をいかに追求するか、という課題」の続きです。だいぶ間が空いてしまいすみません。 和僑 農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日人 作者: 安田峰俊出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2012/12/15メディア: 単行 クリック: 26回この商品を含むブログ (12件) を見る 安田峰俊著『和僑』は、一作ごとに力をつけてきた若手ライターによる、やくざ、風俗嬢、農民など、中国にかなりディープに根を下ろして生活する日人を取材した、格的なルポルタージュである。書で安田がインタヴューを行った対象、すなわち共感を持った日人に共通する特徴とは何だろうか。一言でまとめるなら、「日社会では生きがたい人々」これに尽きるだろう。それが望ましい結果をもたらすとか、新たな日中関係を切り開くとか、そういったお題目ではなく

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  • 「普遍性」をいかに追求するか、という課題 - 梶ピエールのブログ

    人は中国をどう語ってきたか 作者: 子安宣邦出版社/メーカー: 青土社発売日: 2012/11/21メディア: 単行購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (5件) を見る 前回のブログ記事の最後に、このについて「書に感じた「ちょっと待てよ」という違和感の由来を整理してみたい」と書いた。同時に、「日中に通底する普遍的な(ぶれない)価値判断の軸を持つこと」および、「その価値判断の軸に照らして、それと大きくずれた現象が生じたときは、社会に対して何らかのアクションを起こす」ことをよしとする著者の姿勢に共感する、ということも述べた。 実は、僕が書に感じる第一の違和感も、後者にあげた日中間に通底する「普遍的な価値判断の軸」にかかわる。書の記述からは、それが大事だということはわかっても、普遍性を具体的に練り上げていくための、道筋が示されていないように思うのだ。例えば、書の尾

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    lotus3000
    lotus3000 2013/04/13
    ”アジア近隣諸国に対する公平かつ寛容な姿勢と、経済的リアリズムに支えられたリベラリズムが、同じ思想的主体の中になかなか統合されないという、日本の思想的土壌を、徹底的に問題視しなければならない”
  • マルクスからカント、そしてヘーゲルへ - 梶ピエールのブログ

    経済大陸アフリカ (中公新書) 作者: 平野克己出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2013/01/24メディア: 新書購入: 34人 クリック: 844回この商品を含むブログ (31件) を見る すでにあちこちで高い評価を得ている書だが、個人的には「アフリカ問題を考えることは、これからの国際秩序のあり方について考えることだ」そんな感想をいだかせる内容の濃い啓蒙書だった。 現在のアフリカの経済成長といえば中国の経済援助や企業進出は切っても切り離せない関係にある。そんな中国の関与はアフリカ諸国にとって「ベストなものではないがベターである」というのが書を読んで得られた感想だ。確かに、中国アフリカ進出は完全に資源確保のためであって、何かご立派な理念がそこにあるわけではない。ただ、一方的に収奪しているわけではなく、間違いなく現地経済の成長に寄与している。その意味で中国アフリカ関与が「

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  • アナーキー・イン・ザ・PRC - 梶ピエールのブログ

    先日、梅田の駅ビルに出来た映画館で、姜文監督の『さらば復讐の狼たちよ』を観た。評判に違わず、娯楽作品として完成度が高いだけでなく、今の中国を考えるにあたって格好の題材を提供してくれる傑作だと思う。この作品は特にリベラルな知識人層から絶賛されたと理解しているが、この作品で明らかになったのは、姜文のリベラリストというよりもむしろアナキスト的な側面だという印象を受けた。映画の内容とその政治的な「読み方」については、福島香織さんによる以下の記事が詳しいのでそちらを参照のこと。 http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120702/234035/?top_updt&rt=nocnt 上にも書いたように、姜文はどちらかというと左派よりはリベラル派に人気のある監督だと思うが、姜文自身の立ち位置は典型的なリベラリズムとはかなり距離があると思う。いわゆる

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  •  添谷芳秀『日本の「ミドルパワー」外交』ISBN:4480062351 - 梶ピエールのブログ

    こちらに来てから論文を中心に勤めて英文を読むようにしているので、全体的な読書量はめっきり落ちているのだが、たまには経済関係以外のものも読んでみようと、出発前にあまり深く考えずに持ってきていたこのを手に取ったら、たまたま今考えていることと重なる点が多くてなかなか面白く読んだ。 外交のずぶの素人としては、中国問題にも造詣の深い著者ならではの日・中・米間の微妙な外交バランスに関する記述には示唆される点が多かった。また中曽根外交は吉田外交の正統的な後継者としてみなすべきだ、といった指摘も非常に興味深かった。もっとも、戦後の日外交の「よい点」を一貫して褒めようとする一方で、例えば沖縄基地問題などの戦後日外交によってもたらされたと考えられるさまざまな矛盾点を(当事者による評価に一言も触れることなく!)あまりに簡単にスルーしてしまう書の姿勢には、違和感がないわけではない(というか大いにある)。し

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  • 梶ピエールの備忘録。 - 優等生だったはずなのに・・

    満州事変から日中戦争へ―シリーズ日近現代史〈5〉 (岩波新書) 作者: 加藤陽子出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/06/20メディア: 新書購入: 3人 クリック: 66回この商品を含むブログ (49件) を見る 岩波新書は新赤版になってから重量級の作品が増えたような気がするが、この1冊も新書とはとても思えない内容のヘビーさ。というか新書で紙幅が限られているので余分な説明がそぎ落とされているせいか、僕なんかは3回最初から読み直してようやくだいたいの内容が頭に入った始末。このような格的な啓蒙書と、20分間くらいで読めてしまいそうなカジュアルと同じ「新書」というカテゴリーでくくってしまってよいのだろうか、というのはひとまずおいとくとして・・ 書の特色をあえて言うなら、「条約と国際法」の解釈をめぐるすれ違い、という観点から1930年代前後の日中関係の複雑さおよび戦争にいたる

    梶ピエールの備忘録。 - 優等生だったはずなのに・・
    lotus3000
    lotus3000 2012/09/08
    「無法者」”中国に対する優越感の混じった被害者意識とか、一生懸命国際情勢についていこうとしていたはずなのにいつの間にか自分だけハズレ者になっていた”
  • イギリス帝国とアジア、日本 - 梶ピエールのブログ

    イギリス帝国の歴史 (中公新書) 作者: 秋田茂出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2012/06/22メディア: 新書購入: 3人 クリック: 90回この商品を含むブログ (22件) を見る グローバルヒストリーの成果を一般読者向けに説いた良書が目立つようになっている。羽田正著『新しい世界史へ――地球市民のための構想 (岩波新書)』が文字通りの入門編だとしたら、近代イギリス帝国の成立が世界史に与えたインパクトを、アジアにおける各国史の成果をふんだんに取り入れながら整理した書はその各論編といったところか。 書の詳細な内容については山下ゆさんがまとまりのよいブログ記事を書かれているので、そちらを参照のこと。 http://blog.livedoor.jp/yamasitayu/archives/51987700.html 僕自身の関心で言うと、以前に書いた以下のブログ記事の内容がが

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  • 理念型としての「中国」 - 梶ピエールのブログ

    中国化する日 日中「文明の衝突」一千年史 作者: 與那覇潤出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/11/19メディア: 単行購入: 12人 クリック: 193回この商品を含むブログ (113件) を見る このは最近店頭に並んだばかりだが、早速ネットなど多くの人が感想を論じている話題の書である。古代以来の日歴史を「中国化」と「脱中国化=江戸化」という二つの異なる統治原理の間を揺れ動きながら形成されてきたものとして捉えつつ、現代の政治・経済的な混迷を世界が「中国化」する中で日がうまく対応できないところにあると診断する、明確な視点に貫かれた刺激的な日社会論ということになるだろうか。 書で使われている「中国化」とは、具体的には貴族の特権を廃し皇帝一元支配が確立した宋朝中国の統治原理を一般化した概念を指す。それは、権威と権力の一致、政治と道徳の一体化、社会的地位の一貫性、経済

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  • 中国農民はなぜ「土地改革」を受け入れたのか - 梶ピエールのブログ

    中華人民共和国誕生の社会史 (講談社選書メチエ) 作者: 笹川裕史出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/09/09メディア: 単行(ソフトカバー) クリック: 2回この商品を含むブログ (6件) を見る ここのところのブログ記事を読んでもらえれば、僕が最近明清中国の社会経済史について関心を深めていることには気がついてもらえると思う。これはもちろん、こういった「伝統中国」に関する理解を深めること現代の中国を理解するのに不可欠だという問題意識による。 たとえば、中国農村が封建的な階級対立のアリーナだった、という議論は「農村革命論」という公式イデオロギーの成立に大きな役割を果たした。しかし、先日紹介した足立啓二氏の著作でも示唆されているように、伝統的な中国農村では、貧しい農民が経済的に地主(が経営する土地)に従属するケースはあったかも知れないが、経済外の身分的な制約によって土地に縛り付

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    lotus3000 2012/06/24
    これは面白そうな論考だ。
  • 汪暉、重慶事件を語る(下) - 梶ピエールのブログ

    (承前)汪氏の論説に対する批判の二点目は、彼が温家宝による「密室政治」を攻撃するあまり、現代中国社会における様々な矛盾をことごとく温とそのブレーン、ならびに彼らが推し進めようとしている「新自由主義」政策に帰する、という一種の陰謀論になってしまっている点だ。 たとえば彼は、広東省に基盤を持つ南方系メディアを中心として「メディアの政党化」、「政治家のメディア化」が生じているとして、以下のような批判を行っている(『世界』7月号253ページ)。 第一級の党メディアの系統と第二級の党メディアの系統(たとえば南方系など)が緊密に連携をとって、民主、自由、開放の名の下に「真相政治」を弄んだ。それらの基調と温家宝の記者会見のレトリックは完全に一致するものであり、そこで「人民の目覚め」、「改革開放」、「政治民主」などの言葉が使われた。このような虚飾に満ちた言語が密室政治を通じて「真相」を操作するのである こ

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    lotus3000 2012/06/24
    >様々な社会矛盾の根源を、新自由主義という外部の思想に求めるのではなく、自らもどっぷりとつかった中国政治文化そのものに求め、それを「内破」させていく姿勢がどうしても必要になってくる
  • もう一つの「中国モデル」論 - 梶ピエールのブログ

    先日、中国および台湾で辛亥革命100周年を記念する大がかりな式典があった。単に区切りがよいと言うだけではなく、今年が中国近代化100年の歩みの中で非常に象徴的な意味を持ちそうなのは、この100年間の中で中国の国際社会での地位がMAXに達していることだろう。それは、海外の著名な学者による中国論のスタンスにもよく現れている。 その代表的なものが、9月25日付の読売新聞に掲載され、かなり話題を呼んだフランシス・フクヤマの論考である。フクヤマは、政治面において権威主義的であり、経済面では国営企業に依存した中国の発展モデル(「中国モデル」)が、「大規模な経済政策の決定を迅速に、そしてかなり効果的に行える」点で欧米の自由主義的な経済体制よりも優位に立つものの、最高指導者へのチェックアンドバランスが働かないことや、成長優先の経済運営が行き詰まる可能性について警鐘を鳴らしている。この点に関し、ブログ「政治

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    lotus3000 2011/11/05
  • <民主>と<中華> - 梶ピエールのブログ

    お久しぶりです。この間、米中戦略経済対話や、四川大地震3周年など中国関連の動きはいろいろあったようですが、それはまあともかく。 あまり誰も気にとめていないかもしれないけど、ちょっと前のニュースで、以下のようなものがあった。 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011050200420 【北京時事】台湾のシンガーソングライターで1983年に中国大陸に亡命、89年の天安門事件後に台湾へ送還された侯徳健氏(55)が1日、北京の国家体育場(愛称・鳥の巣)でロックコンサートに出演した。中華民族のルーツを竜に託し、70、80年代に中台双方でヒットした「竜の伝人(伝承者)」を歌い、9万人の観衆は懐旧の情に浸った。 2日付の香港紙・明報は「侯氏が6・4(天安門事件)後、北京でステージに立つのは初めて」と伝え、北京紙・北京晨報は侯氏の舞台写真を掲載した。 侯氏が78年に

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    lotus3000 2011/05/21
  • 毛沢東と「野望の王国」 - 梶ピエールのブログ

    ・・さて、前置きのつもりの上の文章ががずいぶん長くなってしまったので、別エントリを立てます。というわけで日だけではなく世界中でその振る舞いが警戒されつつある中国とはどういう国なのか、その「建国」の事情に立ち返って捉えなおすには、なんといってもこの書物でしょう。 毛沢東 ある人生(上) 作者: フィリップショート,山形浩生,守岡桜出版社/メーカー: 白水社発売日: 2010/07/17メディア: 単行購入: 2人 クリック: 20回この商品を含むブログ (19件) を見る毛沢東 ある人生(下) 作者: フィリップショート,山形浩生,守岡桜出版社/メーカー: 白水社発売日: 2010/07/17メディア: 単行購入: 2人 クリック: 5回この商品を含むブログ (12件) を見る  7月に出たこの上下巻は相変わらず書店の中国コーナーに平積みにされているけど、若年層の中国離れがいっそう進

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    lotus3000 2010/10/02
  • 中国は反日に萌えているか - 梶ピエールのブログ

    中国屋などを生業にしていて一番いかんと思うのは「建国記念の日」というと反射的に10月1日を思い浮かべてしまうことである。2月11日?それって誰が何をした日でしたっけ? ・・さて、そんな私にとって(?)、前に書いたように領土問題というのは、個人的にほとんど萌えない話題だし、政府の対応のまずさなどについてはいくらでも論じる人がいるでしょうから、そちらにお任せします。 ただ、これも盛んに言われることで、中国政府の強硬政府の背景に民衆のナショナリズムの吹き上がりがある、というのはその通りだとは思うが、これを2005年の反日デモの時とと同列に捉えるのは大きな間違いだと思うので、その点だけ指摘しておきたい。 前回の反日騒ぎの時には、まず2004年に尖閣諸島上陸とか、日の国連安保理常任理事国反対の署名など一部活動家が反日の声を上げていたのが次第に注目を集め始め、同年夏にサッカーアジア杯のブーイングに代

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  • 神話的暴力と神的暴力、あるいは「動物」たちの反乱 - 梶ピエールのブログ

    少し前の、稲葉振一郎氏のエントリより。 少し話は変わるが、人(認識・行為の主体)を殺すということは、ある意味で(すなわちその人にとっての)世界を終わらせるということであり、その意味で人を殺すという営みは神的である。レヴィナスが「殺人は不可能である」と言ったのは要するにそういう意味においてであるとは言えまいか。つまりより正確には「殺人を人として行うことは不可能である」ということであったのではないか。殺すことにおいては、人は実に簡単に神の真似事ができてしまうのである。 もちろんその対極の、いわば「神の真似事」の困難な極というものが考えられる。すなわち、世界を創造するということだ。しかしこうした作業でさえも「真似事」としてであれば十分に可能である、とは言えまいか。すなわち、ある人にとってはその外側、ほかの可能性(「可能世界」と呼んでしまうことはとりあえずは差し控えるとして)が想定できないような環

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    lotus3000
    lotus3000 2010/09/21
    左翼の右翼化もここから発生するのかしら。
  • 属地的自治と属人的自治 - 梶ピエールのブログ

    http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20090903の続き。塩川伸明『民族とネーション』より再引用。 オーストリア社会民主党の1899年のブリュン綱領は、オーストリアの民主的他民族連邦国家への転化を目標として掲げた。その前提には、属地主義に基づいた民族別地域の自治という発送があったが、諸民族の混在する地域ではこれだけでは問題に解決にならないことから、地域自治(属地主義)と属人主義の組み合わせという考えがオットー・バウアーらによって提起された。属人主義とは、少数民族が地域を越えて形成する公法団体に学校運営などを委ねるという考えであり、「文化的自治論」とも呼ばれる。 レーニン及びスターリンがブンドへの対抗という観点から領土的民族自決論を特に強調したことはよく知られている。もっとも、この論争における対抗は、当事者たちの党派的論争の過熱のせいもあって、実質以上に過大評価され

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    lotus3000 2010/09/16
  • BMDを棄つるの覚悟 - 梶ピエールのブログ

    珍しく反響の大きかった拙エントリ「経済学的思考のすすめ」について、Baatarismさんからトラックバックをいただいている。 まず、北朝鮮が打ち上げに失敗して日国内の市街地に墜ちてきたときの経済的な損害は大きいでしょう。しかし、その一方で、北朝鮮が打ち上げに失敗して日の国土に落ちる可能性はもともと非常に小さいですし、北朝鮮も失敗時に備えて爆破装置は搭載していたようです。だから、テポドンが日に落ちる可能性はほとんどゼロだったでしょう。さらに落ちたとしても市街地以外の場所に落ちる可能性も考えられます。 従って経済的な損害の観点で考えれば、今回の打ち上げにおける日のリスクは小さく、恐らく迎撃態勢に費やしたコストには見合わなかったと思います。 しかし政治的に考えると、憲法13条で「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限

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