新型コロナウイルスを警戒するあまり、マスクをしていない他人を攻撃してしまう人がいる。ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)上では、自粛要請に従わない人や店に嫌がらせをしたり通報したりする「自粛警察」をもじって「マスク警察」という言葉が飛び交う。感染予防は大事だが、感染リスクの低い状況の時までマスクを強要する社会に息苦しさはないか。記者自身の体験を交えて考えてみた。【山内真弓、宇多川はるか/統合デジタル取材センター】 1歳児に「マスクしなきゃダメでしょ」 それは5月下旬、平日の夕方のことだった。在宅仕事が一段落した記者(宇多川)は、1歳の娘をベビーカーに乗せて散歩に出た。駅近くの川沿いを歩いていると、向かい側から歩いてきた年配の女性に、すれ違いざまに大声で言われた。「お母さん! 赤ちゃん、マスクしなきゃダメでしょ!」。笑顔でふざけている雰囲気ではなく、本気で怒っている表情に見えた。