今回はあらためて「まえがき」から。 橋本氏は、なんでここでに書いているようなことを考えているのかというと、それをしないと「自分の足下が崩れてしまう」からだという。「自分が明確だから、世の中のことなんかどうでもいい」と言える人は、自分を明確にするその前の段階で、「世の中がどうなっているのか」について十分な学習をしてしまっているのだという。しかしそういう学習は、いつまでも通用するとは限らなくて、いわば充電式の電化製品のようなもので、使っているうちに消費されてしまうのだ、と。この本は橋本氏の充電作業の記録というわけである。 以前、竹内靖雄氏の本を読んでいて、別に日本が滅びてもかまわない。大事なのはどのような国、どのような体制であっても生きていける人間であるように自分を鍛えておくことだ、といったことが書いてあるのを読んで、驚嘆したものだった。わたくしにはとてもそのような覚悟はない。わたくしがしてい