宗派抗争への懸念や有力国の利害で政権が延命 長期独裁政権下に置かれていたアラブ諸国の民衆が、言論の自由や政権交代を求めて立ち上がってから、1年が過ぎました。 この「アラブの春」で、チュニジアやエジプトでは大統領が退陣、リビアでは内戦状態になった末、欧米諸国の軍事介入でカダフィ政権が崩壊しました。 しかし、シリアでは、アサド大統領を支える軍や秘密警察が戦車まで投入して反政府活動を弾圧し続けており、その犠牲者(死者)は昨年末までに5000人を超えたと言われています。それでも、国際社会は介入しようとしません。なぜでしょうか。 まず、アサド政権が崩壊すれば、予測を超えた混乱が中東地域に広がるのではないか、という不安です。 シリアでは、人口の約1割に過ぎない少数派のイスラム教アラウィ派が政府や軍の要職を占め、7割を超える多数派のスンニ派を支配しています。その体制が崩壊すれば、スンニ派の怨念が爆発し、