子どもの思考と精神の自由を縛る「ふわふわ言葉」「チクチク言葉」 教育現場への浸透は危うい 二分法と精神論による指導ではなく、「言葉の力」をこそ学ばせるべきだ 西郷南海子 教育学者 校舎を埋め尽くす「ふわふわ」標語 近年、みなさんは小学校に足を踏み入れたことがあるだろうか。壁という壁が標語で埋め尽くされ、目が回るような光景が広がっているのである。とりわけ、「ふわふわ言葉」と「チクチク言葉」の区分が頻繁に用いられ、筆者の調査では北海道から沖縄までの小学校で使われていることがわかった。「ふわふわ言葉で学校(クラス)をいっぱいにしよう」というように。 では、「ふわふわ言葉」と「チクチク言葉」とは何か。ずばり、自分(相手)を喜ばせる言葉と、自分(相手)を嫌な気持ちにさせる言葉のことである。主には道徳の時間に学習され、子どもたち同士のロールプレイングなども行われている。道徳教科書の指導用書にも登場し、