茶封筒に入れた父親の遺骨(左上)を仏壇に置き、「父さん、ごめんなさい」と語りかける男性=東京都で6月、宮本明登撮影(画像の一部を加工しています) いつものように朝からハローワークをのぞいたが、この日もいい仕事はなかった。昨年5月下旬、東京都内に住む男性(55)が帰宅すると、84歳になる父親が布団の脇であおむけに倒れていた。慌てて脈をみたが、既に亡くなっていた。父親と2人で暮らす古びた家の和室で、男性は急に不安に襲われた。 「葬式代が払えないなんて格好が悪い」。近くに住む唯一の肉親の妹に知らすことができなかった。正社員だとうそをつき、見えを張っていたからだ。実際は日雇いのアルバイト生活で、蓄えは3万円ほど。父親の貯金もほとんどなく、13年前に病死した母親の葬儀に200万円かかったことが頭から離れなかった。 すぐに湯を沸かし、ぬれタオルで遺体は拭いたが、後は途方に暮れるだけだった。「お父さん、