三菱化学は、非常に細かい穴の開いた膜を使い、ワインのうまみを濃縮する技術の事業化に乗り出す。 ブドウ果汁から水分だけを除く膜技術を確立し、水分が多い果汁でもうまみを生かしながらアルコール度数の高いワインが造れるようになる。2016年度にも国内外の醸造事業者に提案を始める。 表面に約0・4ナノ・メートル(ナノは10億分の1)の微細な穴のある「ゼオライト膜」を使う。穴は約0・3ナノ・メートルの水分子を通すが、穴より大きいうまみ成分などは通さず、より分けられる。 ワインの原料となるブドウは、収穫する年の気候などで糖度に差が出る。糖度の低いブドウ果汁でワインを造ると、アルコール度数が高くならず、薄味になる傾向がある。地域によっては、アルコール度数を高めるため、醸造前に糖分を加えることがある。ゼオライト膜を使えば、水以外の成分に影響を与えず果汁を濃縮し、糖分やうまみなどの濃度を高められるという。