女性の活躍を促そうと、政府・与党内で所得税の配偶者控除の見直しが議論されているが、なぜか男性の働き方には焦点が当たらない。勤務時間を制限する「壁」を低くすることで妻の労働時間が増えれば、家事や育児を分担する夫の負担も増えるはずなのに……。仕事と育児に励む男性を「イクメン」とたたえる風潮は定着しているが、このままでは「男の生きづらさ」は増すばかりでは?【沢田石洋史】 「男性学」。この耳慣れない分野を専門にするのが、社会学者で武蔵大助教の田中俊之さんだ。著書に「男がつらいよ」「男が働かない、いいじゃないか!」などがある。生後10カ月の1児の父でもある田中さんが男性学に取り組んだのは「大学4年の時、同じ会社に40年勤めることが自明な社会ってなんなのかと思ったのがきっかけ」と話す。