北海道新幹線が開業してから、初めての夏が過ぎた。道南と対岸の青森県一帯は、7~9月に開催された「青森県・函館デスティネーションキャンペーン」でにぎわった。筆者は開業日以降、道南を回る機会がなかったが、8月に入ってようやく、講演などのため何度か、津軽海峡を渡ることができた。 開業直後は「平均乗車率わずか20%台」と批判を浴びたものの、JR北海道が9月末に発表した数字では、半年間で143万5000人が利用し、在来線のおよそ1.8倍の水準を維持している。その結果、乗車率も当初予想の26%を上回る39%まで上昇した。競合するフェリーは旅客が増加、航空機の客も大きくは減っていない。人の動きに関する限りは、及第点の状況と言えよう。ただ、予想を超えた人が押し寄せた結果、「うれしい誤算」にほころぶ顔が目立つ一方、地元には意外な困惑も漂っていた。 8月に相次いで北海道各地を襲った台風は交通網に深刻な打撃をも