恵泉女学園大学(東京都多摩市)の運営法人は22日、閉学を前提に2024年度以降の学生募集を停止すると発表した。入学者の定員割れが続き、運営が困難になったためとしている。 大学側は公式ホームページで、高校卒業を迎える18歳人口の減少や共学志向の高まりを背景に「入学者の定員割れが続き、大学部門の金融資産を…
1995年に起きた国松孝次・警察庁長官(当時)狙撃事件で、警視庁の特命捜査班が事件の時効約1カ月前の2010年2月から複数回、参考人として事情聴取した元自衛官の男性(49)が毎日新聞の取材に応じ「事件当日、『狙撃犯』を名乗る知人の逃走を手伝ってしまった」と証言した。男性は当時の聴取に事件への関与を否定したが、昨春以降、取材に応じる中で「狙撃犯」の死期が迫っているとして口を開いた。今月で事件発生から28年。多くの謎を残す未解決事件の新証言となる。 長官狙撃事件は、オウム真理教の信者による地下鉄サリン事件から10日後の95年3月30日朝に発生。警視庁は公安部主体の捜査本部を設置し、教団による組織的テロとみて捜査を進めた。これに対し、捜査1課を中心とした刑事部は、01~02年に大阪市と名古屋市で発生した現金輸送車襲撃事件で逮捕され、強盗殺人未遂罪で無期懲役が確定した中村泰(ひろし)受刑者(92)
今年2月までに少なくとも7783万回分の新型コロナウイルスワクチンが使用されずに廃棄されたとみられることが、毎日新聞の取材で判明した。厚生労働省の公表資料や全国の主要な自治体へのアンケート集計で割り出した。ワクチンの有効期限切れが主な要因で、廃棄量は購入契約数の約9%に当たる。有効期限の到来によって今後も増える見通しで、有識者からは大量廃棄に至った過程について検証を求める声が上がっている。 国はワクチンの1回当たりの購入単価を公表していないため、廃棄されたワクチンの費用を算出できない。ただ、財務省は購入予算額(2兆4036億円)を総契約数(8億8200万回分)で割った2725円を金額換算した場合の1回分として示している。この数字を掛け合わせ、廃棄されたワクチンを金額に換算すると約2120億円と試算することができる。厚労省幹部は「2725円を掛け合わせて廃棄されたワクチンの費用の総額…
公立学校の教員に残業代が支給されないのは労働基準法違反だとして、埼玉県の公立小学校の男性教員(64)が、県に未払い賃金約240万円の支払いを求めた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(岡村和美裁判長)は8日付の決定で、教員側の上告を棄却した。公立学校教員の賃金支給は教職員給与特別措置法(給特法)で定められているが、同法とは別に労基法に基づく残業代の請求はできないとして教員側を敗訴とした1、2審判決が確定した。 小法廷は「上告理由に当たらない」とだけ述べて教員側を敗訴とした詳しい理由を示さなかったが、2審の給特法の解釈に不合理な点はないと判断したとみられる。裁判官4人全員一致の判断。別の教員が今後同様の訴訟を起こしても、残業代が認められる可能性は低くなった。
男性は自身が逮捕されたニュース映像を見つめ、自分を戒める=2023年2月10日午後6時10分、木原真希撮影 特殊詐欺事件の容疑者として映し出されたテレビニュースを毎朝見返すのが日課だ。警察官に囲まれながら、うつろな表情で歩く自分自身の姿――。思わず目を背けたくなるが、映像をじっと見つめ「もう二度と犯罪には手を染めない」と言い聞かせる。全国で相次ぐ広域強盗事件のニュースを耳にするたびに想像する。「あの日逮捕されていなかったら、もっとひどいことに関わっていたかもしれない」 関東地方に住む20代の男性は昨年、仲間と共謀して高齢者からキャッシュカードをだまし取ったとする窃盗容疑で逮捕され、懲役3年、執行猶予5年の判決を受けた。一連の強盗事件で逮捕された実行役らと同じく、きっかけは闇バイトだった。
野党第1党の立憲民主党は19日に開いた党大会で、「信頼回復と党再生に全力で取り組む」などとする活動計画を決め、引き続き党勢回復を目指す姿勢を強調した。2022年8月にベテラン中心に刷新された党執行部は、国会では日本維新の会との「共闘」路線にかじを切るなど試行錯誤を繰り返している。だが、いまだ「自民党1強」を脅かすまでには至っていない。立憲の現在地は――。 「自民党の組織の強さは尋常ではない。公明党は数多くの自治体議員を抱えている。日本維新の会や国民民主党もそれぞれに活動を強化している。我々はそうした各政党に負けない活動をしようではないか」。泉健太代表は党大会のあいさつで、4月の統一地方選を念頭にこう強調した。
「動物のように扱われた」。遺族が怒りに震えた監視カメラ映像には、何が映っていたのか――。 295時間のうち5時間分の視聴許可 2021年3月、名古屋市の入管施設で死亡したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の様子を記録した監視カメラ映像を、記者が視聴した。亡くなる当日、ウィシュマさんの指先が冷たくなっていると報告を受けた職員が発したひと言には、思わず耳を疑った。 記者が閲覧申請して視聴を許可されたのは約5時間分の映像。亡くなるまでの13日間に撮影された約295時間分の映像の一部だ。遺族が国に損害賠償を求めた訴訟で、国側は22年12月に同じ映像を名古屋地裁に提出。遺族側は公開の法廷での上映を求めている。
新型コロナワクチンのコールセンター業務を巡り、委託先でオペレーターの水増し報告があったことを説明する大阪府吹田市の職員=吹田市役所で2月10日、三角真理撮影 新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、大阪府枚方市など3市からコールセンター業務を受託していた人材派遣会社「パソナ」(東京都)は10日、再委託先の企業がオペレーターの人数が足りないのに虚偽報告し、委託料計約10億8000万円分を過大請求していたと発表した。 市民からは「電話がつながりにくい」などの苦情が寄せられており、パソナは「管理不行き届きにより、市民の皆様に多大なご迷惑をおかけした」と謝罪。3市に返還した上で、再委託先の「エテル」(大阪市)に損害賠償を求めるとしている。 業務を委託していたのは枚方市、同府吹田市、兵庫県西宮市。パソナによると、必要なオペレーター数を3市と定期的に確認し、エテルに再委託していた。
顔にアカミミガメを模したペイントを施し、新たな外来種規制について説明する環境省の奥田直久・自然環境局長=環境省の公式ユーチューブチャンネルから 環境省の公式ユーチューブチャンネルに、顔を緑、耳などを赤くペイントした省幹部が登場する動画がある。本人は「恥ずかしいという思いもあった」と話すが、そうまでして画面に出たのは「新たな外来種規制をより多くの人に知ってもらわなければ」という思いからだった。 「ミドリガメ」ペイントで新規制を解説 「法律がどう変わったか、解説してくれるのがこちらの局長」。司会役の環境系ユーチューバー、WoWキツネザルさんの紹介を受けて登場したのは、同省で外来種規制を担当する部局のトップ、奥田直久・環境省自然環境局長(60)だ。 顔や耳のペイントは「アカミミガメ(ミドリガメ)」を模したもの。WoWキツネザルさんが本物に似せて、しま模様も丁寧に描き込み、30分ほどかけて仕上げた
記者団の取材対応を終え、首相官邸を出る岸田文雄首相(左)と荒井勝喜首相秘書官(右)=東京都千代田区で2023年2月3日午後6時16分、竹内幹撮影 荒井勝喜首相秘書官に対する3日夜の首相官邸での取材は、録音や録画をせず、発言内容を実名で報じないオフレコ(オフ・ザ・レコード)を前提に行われ、毎日新聞を含む報道各社の記者約10人が参加した。首相秘書官へのオフレコ取材は平日はほぼ定例化している。 3日の取材では、岸田首相が1日の衆院予算委員会で同性婚の法制化について「社会が変わっていく問題だ」と答弁したことについて記者から質問があり、荒井氏は首相答弁の意図などを解説した。その中で「僕だって見るのも嫌だ。隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」などと発言した。現場にいた毎日新聞政治部の記者は、一連の発言を首相官邸キャップを通じて東京本社政治部に報告した。 本社編集編成局で協議した結果、荒井氏の発言は同性婚制
恵方巻きの食品ロス問題を訴えるSDGsユニオンの荻田航太郎委員長(左)ら=東京都内で2023年2月1日、吉永磨美撮影 毎年、節分後に大量廃棄される恵方巻きについて、食品ロス問題の改善などを目指す労働組合「SDGsユニオン」が1日、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンのコンビニ大手3社に廃棄ロスの改善を求める要望書を提出した。その後に開いた記者会見で、食品廃棄作業を経験したコンビニ店員らの4割がそのストレスで退職したとのアンケート結果を明らかにした。 ユニオンの荻田航太郎委員長は記者会見で、コンビニ店長や店員に対する「販売ノルマの強要」などが廃棄ロスの要因になっていると指摘。荻田氏は「売れ残った商品を(マイナス分として)原価に含めずに計算し、食品ロスを加盟店に負担させるコンビニの仕組みが廃棄ロスを助長している」と強調した。
岸田文雄首相が27日の参院本会議で、賃金上昇やキャリアアップに向け、産休・育休中のリスキリング(学び直し)を「後押しする」と答弁した。これに対し、SNS(ネット交流サービス)では「育児してない人の発想」「オッサン政権」などの痛烈な批判が広がった。28日には「リスキリング」「産休・育休中」の言葉がツイッターのトレンド入りした。 参院本会議の代表質問で、自民党の大家敏志議員が「産休・育休中のリスキリングによって、一定のスキルを身につけたり、学位を取ったりする人々を支援できれば、子育てによるキャリアの停滞を最小限にし、逆にキャリアアップが可能になることも考えられる」と指摘。「リスキリングと産休・育休を結びつける企業を国が支援すれば、親が元気と勇気をもらい、子育てにも仕事にも前向きになれる」と提案した。
出土した鼉龍文盾形銅鏡。盾と鏡を合わせたようなデザインで、鼉龍文や幾何学文様など精緻な装飾が特徴的。中央の丸い突起はひもを通す「鈕」=奈良市教委提供 奈良市にある国内最大の円墳、富雄丸山古墳(4世紀後半、直径109メートル)の未盗掘の埋葬施設から、過去に類例のない盾形の銅鏡(長さ64センチ、幅約31センチ)と蛇行剣と呼ばれる鉄剣(全長237センチ、幅約6センチ)が出土した。いずれも国産とみられる。盾形銅鏡は国内で出土した銅鏡で最も大きく、裏面には精緻で複雑な文様が施されていた。蛇行剣は曲がりくねった刃が特徴で、古墳時代の鉄剣としては東アジア最大、蛇行剣では国内最古という。25日、発表した市教委と奈良県立橿原考古学研究所は「古墳時代の金属器の最高傑作」と評しており、国宝級の発見といえる。 埋葬施設は、墳丘から北東方向にせり出した「造り出し」で見つかった。木の幹を二つに割り、内部をくりぬいて被
自動販売機の隣に設置されたリサイクルボックス。レジ袋で一部の投入口がふさがれ、周囲にはペットボトルや空き缶が散乱していた=東京都千代田区で2022年9月17日午後1時23分、鈴木理之撮影 清涼飲料の自動販売機隣の箱に飲料容器以外のごみを放り込んだことはないだろうか。自販機併設の箱は、使用済みペットボトルなどを回収し再資源化するための「リサイクルボックス」。ところが、箱の目的が周知されず、容器のリサイクルにも影響が出ている。 「ペットボトルや缶以外のごみが多く捨てられ、リサイクルボックスの周りにごみが山積みになっていることもある。ごみ捨て場と思われているならやるせない」。東京都豊島区で1月初旬、大手飲料メーカーの自販機にペットボトルの補充をしていた男性作業員は嘆いた。 清涼飲料メーカーでつくる「全国清涼飲料連合会(全清飲)」によると、国内に設置される清涼飲料用の自販機は約200万台に上り、原
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