■劣化した政治家と官僚、そして 市井の声――大所高所からの発言ではなく、平凡な庶民の思いという意味である。恩地祥光氏が、この2年ほど朝日新聞の「経済気象台」に書き続けたコラムは、読んでいて実にわかりやすい。タイトルに経営と銘打っているものの、身近なニュースやアベノミクスの行方、日本経済の課題が幅広く取り上げられ、格好の社会時評となっている。 著者は、1977年に新卒でダイエーに飛び込んだ。同社が小売り業界初の1兆円突破に向かって快進撃をしている時期である。そして、26歳のとき、創業者・中内功氏の秘書に抜擢され、それから4年間、いわゆる“かばん持ち”として仕える。おそらく恩地氏は、カリスマ経営者の一挙手一投足を目の当たりにしながら、マネジメントを学び、見識を深めたことだろう。 そのことが「ハゲタカと呼ばれた外資系再生ファンドの功罪」と題するコラムを読むとわかる。企業はヒト・モノ・カネで