筆者が学生の頃、大学の教員と言えば、それはまあ「ザ・大学教授」みたいな人ばかりで、アカデミックなバックボーンがしっかりしているのは当然として、社会的にも知名度の高い教員や、論壇誌にしばしば登場する論客の教員なども少なくなかった。しかし、こうした古典的な「大学教員」像は、今やすっかりノスタルジーの世界に後退してしまった感がある。 これまで寄稿してきた記事では、この20年あまりの間に日本の大学が、大衆化の波をかぶりつつ多様化し、その姿を大きく変容させてきたことを述べた。当然、大学の大衆化や多様化は、そこに職を得て働いている大学教員の姿をも変容させてきたはずである。今回は、このあたりのことを書いてみたい。 大学教員はどれだけいるのか? まずは、基本的な事実から確認しておこう。文部科学省の「平成28年度学校基本調査」によれば、この年の大学数は、国・公・私立大学をあわせて777校あり、本務教員数は、