12月13日に亡くなった、お茶の水女子大学教授竹村和子先生。フェミニズムや批評理論を専門とする英文学者で、ラディカル・フェミニズムの旗手ジュディス・バトラーの翻訳者としてとくによく知られています。私にとっては、「ミズ・ジェンダー」とも呼ぶべき存在感を持つ先生でした。5月に亡くなった菅聡子先生に続き、お茶大というか日本のジェンダー研究界は、貴重な才能を立て続けに失ってしまったのです。 私がお茶大に入学した年に開始された科目群「コア・クラスター」の「ジェンダー系」を主導されていたのが竹村先生。当時ジェンダーは学術界において最先端のキーワードで、先生はまさに気鋭の研究者といった印象でした。「ジェンダー系」は受講希望者が多く、選抜が行われたほどの盛況ぶりでした。私はジェンダー研究者を志し、竹村先生が担当されていた「ジェンダー学論」を最前列に近い席で毎週受講していました。同科目は「ジェンダー系」の基