実験台に載せた真っ白な雄マウスの口内に、脱法ハーブから抽出した液状の化学物質1ミリグラムをスポイトのような器具で投与する。数分でマウスの直腸に差し込んだ電子温度計が下がり始めた。「体温低下だ」。投与から1時間後には5度も下降。マウスは実験台に設置した鉄棒に前足をかけたまま、口を半開きにしてぴくりとも動かなくなった。 これは、国内で唯一、薬物依存を看板に掲げる研究機関、国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部(東京)の舩田(ふなだ)正彦室長(48)らが日々行っている動物実験の一つだ。 動かないマウスが示すもの。それは恐ろしい作用だ。舩田室長は「含まれる化学物質がマウスの中枢神経(脳)に作用し、体温が下がった。ぐったりしたということは、運動機能にも影響を与える毒性を持つということだ」と解説する。 中枢神経が薬物の影響を受けると、意識障害や吐き気、幻覚などさまざまな症状が出る。中でも、昨年発