「横浜駅が自己増殖して日本列島を覆い尽くす」-。そんな奇想天外な設定に、「あらすじだけで面白い」と話題になり、「第1回カクヨムWeb小説コンテスト」大賞に選ばれた『横浜駅SF』。ツイッターに何気なく投稿した「横浜駅は生命体である」というネタツイートを発端に連投小説化し、長編小説として書き直すに至ったという異色の作品だ。 著者は小説だけでなくゲーム「人を馬鹿にしたブロック崩し」、上司にバレずにツイッターができる不良社員支援ツール「BossKitter」など、クスッと笑ってしまうようなウェブアプリを発表している生物学研究者の柞刈湯葉(いすかり・ゆば)さん。書籍化を前に、小説を書いたきっかけやネット小説ならではの読者からのダイレクトな反応について話を聞いた。 実話を書く理由がなければフィクションを書く――小説はいつ頃から書かれていますか。 小学生でよく作文や日記の宿題が出ていたのですが、僕はそう