地球温暖化への関心が、これまでにない高まりを見せている。すなわち、地球温暖化の悪影響が現実化しつつあるので、一刻も早く対策を実施すべきであり、対策が遅延すればするほど、そのつけは大きくなると叫ばれている。では、対策をどの程度実施すべきなのか。 世界189カ国が批准し、京都議定書の基礎となっている「国連気候変動枠組条約」の第2条に、温暖化対策の「究極目標」として下記の記述がある。 「……気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極的な目的とする」 すなわち、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼさない濃度での安定化が究極目標である。それでは、この濃度に安定化すれば目的は達成されるのか。条約第2条の後段部分に、下記の規定がある。 「そのような水準は、生態系が気候変動に自然に適応し、食糧の生産が脅かされず、かつ、経済開発が持続可