ルワンダのリポートを続けていますが、大変ありがたいことに、日経ビジネス オンラインの「毎日一冊!日刊新書レビュー」で、麻野一哉さんに私の『バカと東大は使いよう』を書評していただきました。麻野さん、いろいろご指摘、大変に参考になりました。編集部にもお礼を申し上げます。今回はこの本で扱っている大学の問題と、一見すると関係なさそうに見える本連載との関わりから、話を始めたいと思います。 共通するキーワード、それは「社会的責任」です。日本の大学や教育を巡る問題で、私は主として「学術の社会的責任」や「科学者の社会的責任」、あるいは「教育者の社会的責任」などの問題を考えています。 調べてみると面白いもので、日本の学校や大学組織がいかに「官学」体質であるかが、よく分かりました。明治初期に日本は近代西欧学術を受容しましたが、その「学」の伝承はかなりの範囲で、江戸期支配階層の官学である儒学を雛形としています。