行く必要もない海側にわざわざ連れ出され、幼い命は奪われたのではないか――。 あの日から2年半、死亡した園児4人の両親のそんな疑念に、仙台地裁は17日、全面勝訴の判決で応えた。東日本大震災の直後、高台の幼稚園から津波が迫る低地へ向かった送迎バス。斉木教朗(のりお)裁判長は「情報収集を怠った結果の被災」と認定した。園の判断に疑問を抱き続け、バスの走行ルートを自力で調べた遺族たち。我が子の遺影を手に「これが心の区切りになれば」と語った。 判決言い渡し後、原告の一人で、長女の愛梨ちゃん(当時6歳)を亡くした佐藤美香さん(38)は法廷を出た。廊下で「勝った」と言ったとたん、ハンカチで顔を覆い、泣き崩れた。 判決によると、日和(ひより)幼稚園(宮城県石巻市)には元々、海側へ向かう第2便と、内陸方面の第3便の送迎ルートがあった。しかし事故当時、両便の園児は同じバスに乗り、海側に住む7人が降ろされた後、残