鼻毛は現在、恥じてしかるべき冠をいただいております。 まさしく下衆な陰毛扱いです。 このような恥辱は鼻毛にとっても心外きわまりないに違いなく、このままの勢いで公然と陰毛などと言われた日には、誰だって次に鼻がなんと呼ばれるのか、考えただけでも身の縮む思いがします。 しかし鼻毛には鼻毛なりの事情が、歴然と存在します。かなり重要な働きを担っているにもかかわらず、誰もがそれに対して興味を示してくれません。眉毛やまつ毛、せめてモミアゲと同等かそれ以上の扱いを受けてしかるべきです。 なにゆえに同じ毛であるにもかかわらず、鼻から大きくはみ出た口髭のたぐいはもてはやされて、ひっそりと慎ましく生え続ける鼻毛が、ここまでの恥辱を受けるのか。涙なくしては語れません。 絶世の美女の鼻の穴から、一本の鼻毛がしゃしゃり出ている、そんな光景を見た人は、鼻毛を金輪際、嫌悪します。悪夢です。トラウマです。 それでも鼻毛には