日本は、世界でもまれな「コケを愛(め)でる文化」を発展させてきた。中でも「わび・さび」の精神を体現した日本庭園にコケはなくてはならない存在だ。 小さくて目立たず、おまけにきれいな花も咲かないため、文字通りコケにされがちなコケ。しかし、このコケを愛でる文化を発達させた国がある。それが日本だ。この国ではなんと1000年以上前からコケの存在に意味が見いだされ、日本文化特有の美意識「わび・さび 」とも結び付けられてきた。その結果、コケは日本の文化を語る上で重要な植物となっており、なんと国歌にまで登場する。 現代の生活においても、日本ではコケは日常生活に深く入り込んでいる。ぶらりと街を歩けばコケ玉やコケインテリを見かけ、旅行雑誌を手にとれば原生的なコケの風景を楽しむツアーもある。ちょっと奮発すれば、和風料亭でコケに覆われた日本庭園を眺めながら食事もできる。近年はコケへの注目度がさらに高まり、コケを愛