2004年10月23日 マーク・シェル、『芸術と貨幣』 テーマ:最近、読んだ本を教えて!(23998) カテゴリ:カテゴリ未分類 マーク・シェル、『芸術と貨幣』(小澤博訳)、みすず書房、2004年。 芸術はいかにして貨幣になるのか、貨幣はいかにして芸術になるのか。その問いに答えるヒントは、貨幣が記号であると同時に物質であるというその両義性にある。ヨーロッパの芸術は、キリスト教と深い関係にあるが、キリストもまた神人という両義性を持っていた。すなわち、救世主という記号と身体という物質性である。つまり、貨幣と神は、どちらも普遍的で等価の価値を持つという構造的に類似するものである。貨幣が貪欲や吝嗇という悪徳に走らせるという理由はもちろんあるが、貨幣と神の類似性があるために、キリスト教徒は、貨幣のもつ力を忌まわしい物として恐れたと本書には述べられている。 物質に銘刻されるやいなや、そのモノには貨幣と