ウィクラマシンハ首相の退陣を求めて、7月13日に首相府を占拠したデモ隊 ABHISHEK CHINNAPPA/GETTY IMAGES <怒れる民衆が大統領府・公邸に突入、大統領は国外へ逃亡。未来を窒息させ、歴史的危機を招いた根本要因は偏狭なナショナリズムにある> スリランカの悲しくも無惨な歴史に、また1つの大きな転機が訪れた。去る7月9日の土曜日、怒れる民衆が大統領府に、そして大統領と首相の公邸に詰め掛け厳重なバリケードを突破し、治安部隊の殴打や催涙ガス攻撃にも耐えて果敢に前進し、ついには内部に突入して3つとも占拠してしまった。 大統領のゴタバヤ・ラジャパクサは、もちろんデモ隊が到着する前に逃げ出していた(国外から電子メールで、国会議長に辞表を送ってきたのは5日後のことだ)。ラニル・ウィクラマシンハ首相の私邸にも火が放たれたが、こちらはデモ隊に罪をなすり付けたい親大統領派の仕組んだ工作の