坂井豊貴・慶応大教授に聞く 私が政治部で取材していたころ、小選挙区で7割以上の議席を占めていた自民党の幹部が言った。「50%の投票率で得票率40%だから、実は20%の有権者からしか支持されていないのかもしれないんだ」。これは新人議員を戒めるための言葉だったが、実は民意が議席数に反映されていないということではないのか。そんな疑問を『多数決を疑う』(岩波新書)の著者である、慶応大学経済学部教授の坂井豊貴(40)にぶつけてみた。(GLOBE記者 杉崎慎弥) 票の数え直しのために並べられた箱=ロイター。接戦となった2000年の米大統領選では、カリフォルニア州で票の再集計が行われた。 ――日本の投票のやり方は民意を反映できているのでしょうか 日本の選挙制度では、自分が1位と思う候補にしか投票できなくて、2位以下は切り捨ててしまっています。人間が持つ多様な意見を反映させるには、不十分なのです。しかも、