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ブックマーク / synodos.jp (187)

  • 翔んで埼玉?(その2):東京一極集中について考える/中里透 - SYNODOS

    東京一極集中の是正は、長きにわたり重要な政策課題とされてきた。「過密と過疎の同時解消」は「国土の均衡ある発展」を経て「地方創生」に変わったが、一極集中の是正と地方分散を求める声は今も根強くある。そのような声は、かつては道路や鉄道、空港などのインフラ整備を求めるものであったが、最近は少子化への対応と関連づけて是正策が論じられるようになった。 「東京はブラックホール」という議論自体は都市伝説だとしても(各地域の出生率は人口移動の「結果」として決まる指標でもあるということに留意)、首都直下地震のことなどを考えると、東京への過度の集中は好ましくない。もっとも、一極集中是正の対象となる「東京」の範囲をきちんと意識しないと、対応策があいまいなものとなってしまうということを前回の議論で確認した。東京の都心への大学の立地を規制することも一極集中の是正策ではあるが、このような立地規制の結果、都心にある大学の

    翔んで埼玉?(その2):東京一極集中について考える/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2024/09/27
  • 「ノルム」は変わったか:2023年の経済を振り返る/中里透 - SYNODOS

    後から振り返ると、今年は時代の大きな転換点だったということになるかもしれない。今年は「〇〇年ぶり」という30年単位での変化を伝えるニュースが数多くあった。消費者物価指数は41年ぶりの上昇率、賃上げ率は31年ぶりの高水準、日経平均株価は33年ぶりの高値、というように。 過去30年ほどを振り返ると、西暦の下1ケタが「3」の年にはいずれも大きな変化が生じている。今から10年前、2013年はアベノミクスと異次元緩和が始まった年だ。その10年前、2003年には5月に「りそなショック」(りそな銀行に対する公的資金の注入が決定)があり、4月25日にバブル崩壊後の最安値となった日経平均株価は、これを機に上昇に転じた。その後、同年11月の足利銀行の一時国有化を経て、日の金融システムはひとまず安定性を取り戻し、日経済は不良債権の足枷からようやく自由になることができた。 そこからさらに10年前、1993年に

    「ノルム」は変わったか:2023年の経済を振り返る/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/12/27
    もうひとつ、「物価高」の中にあっても消費が大きく落ち込まず、意外と持ちこたえてきたことも、物価上昇のペースの鈍化が当初の予想より後ずれした理由と思われる。
  • 将来世代にツケは回せるか――防衛費の「倍増」について考える/中里透 - SYNODOS

    世の中には一見もっともらしく見えるが、よく考えると不思議な議論というものがしばしばある。「マイナス金利政策が導入されると、銀行は日銀に積んであるお金を引き出して貸出に回す」というのがその典型例だ。 ※上記の「通説」のどこがおかしいのか、マイナス金利での取引が実際はどのようにして広がっていくのか、ということについては下記の記事をご参照ください 信用乗数論は信用できるか――マイナス金利について考える https://synodos.jp/opinion/economy/24113/ 財政をめぐる議論にしばしば登場する「将来世代にツケを回すな」というフレーズも、これとよく似たところがある。もちろん、子や孫に借金を残すようなことをしないというのは「個人としては」大事な心掛けだが、社会全体で考えたときに、「将来世代にツケを回す」ことがはたして実行可能なのかということは、ひとまず立ち止まって冷静に考え

    将来世代にツケは回せるか――防衛費の「倍増」について考える/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/12/27
    国債が将来世代に引き継がれるに際し、納税者が償還財源を負担すべき債務という面と、個人や企業が保有する金融資産という面がある。「将来世代のツケ」理論は、前者のみに着目するもので、重大な見落としがある
  • https://synodos.jp/wp2/wp-content/uploads/2023/12/da9c8fe340571bb3c3001d536a63234d-700x516.png

    maturi
    maturi 2023/12/15
    日銀当預残高の内、マイナス金利が付与されているのは現時点ではわずかな割合にすぎない (グラフ)
  • マイナス金利 ―― 冷静な議論のための論点整理/中里透 - SYNODOS

    このところ、マイナス金利の解除をめぐる議論が活発に行われている。マイナス金利を続けながら、円安の行き過ぎを懸念して為替介入をするというのは平仄が合わないから、日銀当座預金に対するマイナスの付利を適切な形で見直すというのはおかしなことではない。 もっとも、「急いては事を仕損ずる」という場合もある。2000年8月に行われたゼロ金利政策の解除がその典型例だ。物価の情勢がまだ十分に見通せない中、デフレ懸念の払拭が展望できるようになったとしてゼロ金利を解除したものの、ITバブル崩壊の影響もあって景気が悪化。物価下落の圧力が高まったとして2001年2月に公定歩合の引き下げが行われ、3月には量的緩和という形で事実上のゼロ金利政策に復帰せざるを得なくなった。 この点からは、景気と物価の状況を慎重に見極めて、誤りのない判断をしていくことが必要になる。海外景気に下振れのリスクがあることを踏まえれば、なおさらだ

    マイナス金利 ―― 冷静な議論のための論点整理/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/12/15
    "現実的に考えると、マイナス金利の解除といっても当面は日銀当座預金に対する付利を▲0.1%から0.1%に動かす程度のものであり、短期金利(無担保コール0/N物)の変化は0.1%程度にとどまるものと見込まれる。"
  • 終わりの始まりか、始まりの終わりか ―― アベノミクスの今後/矢野浩一 - SYNODOS

    終わりの始まりか、始まりの終わりか ―― アベノミクスの今後 矢野浩一 ベイズ計量経済学 / 動学的確率的一般均衡理論 経済 #金融政策#アベノミクス#リフレ#ニューディール#期待実質金利 2013年5月23日に日株式市場は激震に見舞われ、日経平均株価指数が(前日終値ベースで)約1100円以上も下落した。これはアベノミクス「終わりの始まり」を意味するのだろうか? まず稿ではアメリカで実行されたニューディールを振り返り、今回の急落はアベノミクスの「始まりの終わり」を意味するに過ぎないことを確認する。さらにリフレーション政策による雇用回復と賃金上昇を伴う景気回復が今後実現していくこと、また回復を妨げないため消費増税の延期を考慮すべきことを論じる。 5月23日木曜日、午後のゼミが終わり研究室に戻ろうとしたとき(2時半過ぎ)筆者をゼミ生が呼び止めた。 「矢野先生、日経平均がものすごく下がってい

    終わりの始まりか、始まりの終わりか ―― アベノミクスの今後/矢野浩一 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/11/18
    再ブクマ ”リフレ政策は期待実質金利の低下を通じて、雇用回復と賃金上昇を伴う景気回復を目指すもの” 確かに名目賃金は上昇中。注意深く読むと「実質賃金」とは書いていないが
  • 科学者は政策形成にどう貢献しているのか?――公衆衛生における「科学-政策インターフェイス」について/鈴木基 - SYNODOS

    科学者は政策形成にどう貢献しているのか?――公衆衛生における「科学-政策インターフェイス」について 鈴木基 感染症疫学、国際保健学 科学 はじめに 「科学-政策インターフェイス(science-policy interface)」という言葉があります。科学技術の急速な発展に伴って社会的課題は複雑化しており、何が問題なのかを正確に理解して解決策を探るには、科学者の協力が不可欠です。一方で、様々な利害関係を調整することが求められる政策形成の過程においては、科学的に正しい見解が必ずしも社会の最適解であるとは限りません。科学-政策インターフェイスとは、政策過程で科学者と政治家や行政官の活動が交わる境界域のことであり、新型コロナウイルス感染症の対策を巡って専門家と政府が協力と対立を繰り広げたのも、まさにそのような場所だったと言えるでしょう。 前回の論稿(「公衆衛生政策における介入の基準設定について」

    科学者は政策形成にどう貢献しているのか?――公衆衛生における「科学-政策インターフェイス」について/鈴木基 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/10/11
    科学者共同体が役割を果たすことが出来るかは政治家-行政官共同体と諸々の合意が成立するかにかかっている。共同体成立の目的が異なる以上、両者が合意する理由は、局所的・暫定的なものとならざるをえない
  • インドネシア大虐殺はなぜ起こったのか/倉沢愛子 - SYNODOS

    昨年、「アクト・オブ・キリング」という、世界各国で様々な賞を受賞した異色のドキュメンタリー映画が日でも上映され、センセーションを起こした。 それは50年前にインドネシアで起こった共産党関係者の大虐殺の際に、殺害に手を染めた人々が誇らしげにその時の状況を再現して見せるというもので、その設定の奇抜さが評判を呼び、また人を殺すという行為にまつわる心理を描いたものとして関心を集めたのであるが、同時に歴史を振り返る機会も与えてくれた。 映画を見た多くの人が「あんな事件当にあったとはまったく知らなかった」と語った。わずか50年前の、しかもインドネシアという比較的近い国において、である。 毎年何十万人もの日人が訪れているバリ島(バリもれっきとしたインドネシアのひとつの州である)でも起こっていたのだというと人々はもっと驚く。そしてインドネシア史を専門としているこの私は、人々が知らないというそのこと

    インドネシア大虐殺はなぜ起こったのか/倉沢愛子 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/07/29
    『アクト・オブ・キリング』
  • 「1.57ショック」と「こども未来戦略」――少子化について考える/中里透 - SYNODOS

    1990年の「1.57ショック」以来、少子化の問題は克服すべき重要な政策課題とされてきた。出生率は2000年代半ばに下げ止まり、反転上昇が続いてきたが、このところ再び低下基調となっている。こうした中、出生数はついに80万人を割り込んで、さらに減少が続くものと見込まれている。「日が縮んでいく」ということに対する漠然とした不安は、多くの人に共有されているものであろう。「異次元の少子化対策」が注目されるのは、このためだ。 もっとも、気合いを入れれば出生率が上がる、というほど話は簡単ではない。「希望出生率1.8」を目指した安倍内閣の取り組みなどによって、子育て支援をはじめとする家族関係社会支出は大幅に増加し、待機児童の問題も相当に緩和されたが(もちろん課題も多く残されている)、そうした中にあっても出生率はむしろ低下に転じたからだ(新型コロナの影響で婚姻数が減ったことの影響がしばしば強調されるが、

    「1.57ショック」と「こども未来戦略」――少子化について考える/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/07/29
  • 異次元緩和をどのようにリニューアルするか――金融政策の「正常化」に向けて/中里透 - SYNODOS

    教科書通りのシンプルな枠組みでスタートした異次元緩和にはさまざまな付属物が付いて、「大胆な金融緩和」は今では建て増しを重ねた温泉旅館のようになってしまった。 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という正式名称を持つ現行の金融政策の枠組みには、実は「量」の面での明確なコミットメント(約束)がない。三層構造になっている日銀当座預金(各銀行が日銀に開設している口座の預金)は、どこが1階(プラス金利適用残高)で、どこが2階(ゼロ金利適用残高)かわからない状態になってしまっている(これらの点については後述)。このような説明をしたら、戸惑いを覚える人がいるかもしれない。 それぞれの局面で最善と思われる措置を積み重ねた結果、今の枠組みが出来上がったのだと考えれば致し方ない面もあるが、あまりに複雑な枠組みは金融政策の運営の透明性の確保という点でも問題がある。となれば、金融緩和の大枠は維持したうえで、異次

    異次元緩和をどのようにリニューアルするか――金融政策の「正常化」に向けて/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/05/26
    「年間約80兆円」のペースで国債の買い入れを続けていたら、早晩、国債発行額の壁に当たって「買いたくても品物がない」という状態になったはず
  • 金融所得課税で経済成長?――アベノミクスと「キシダノミクス」のあいだ/中里透 - SYNODOS

    「寛容と忍耐」を掲げて池田内閣が発足した時、強権的な手法の岸総理とは異なる新しい政治が始まることを多くの人が期待した。「田中金脈問題」で田中総理が辞任し、椎名裁定を経て三木内閣が誕生した時、「クリーン三木」には金権政治の打破への期待が寄せられた。 このように、支持率が低落した時に疑似政権交代とも言える大きな政策転換を行って支持を回復することは、政権与党としての自民党の長年の知恵であり続けてきた(少なくとも中選挙区制の時代までは)。「小泉改革以降の新自由主義政策の転換」を訴えて総裁選を勝ち抜いた岸田総理にも、世の中の「気」を変える役割が期待されているということになるのだろう。 もっとも、店の看板は違っても運営している会社は同じという飲店があるように(マルチ・ブランド戦略)、経済政策の運営においても「政策」という商品の見せ方と実際の中身にはさまざまな工夫がなされているから、看板と商品の中身の

    金融所得課税で経済成長?――アベノミクスと「キシダノミクス」のあいだ/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/04/30
    「成長」と「分配」はしばしば対立するものとして語られるが、「成長と分配の好循環」の枠組みにおいては、両者は対立するものというより「いずれを起点に経済成長を考えるか」という方法論の違いととらえられる。
  • 「現代サプライサイド経済学」と「第三の道」――マクロ経済政策の見取り図(その3)/中里透 - SYNODOS

    このところ、「現代サプライサイド経済学」が注目を集めている。イエレン米財務長官がバイデン政権のアジェンダとして掲げるこの「経済学」については、経済成長と格差是正の同時達成を目指す画期的なプランと評する向きが日にもあるようだ。だが、はたしてこれは「新しい」経済政策と言えるのだろうか。以下ではこのことについて考えてみたい。 サプライサイド経済学の「位相」 今から40年ほど前にも「サプライサイド経済学」が注目を集めたことがある。これは税制と社会保障制度の歪みが貯蓄不足と投資不足をもたらしているという認識に立って税制改革と年金改革を行うとともに(主な提唱者はハーバード大学のマーティン・フェルドスタイン教授(当時))、規制緩和を通じて供給面から経済の活性化を図ろうというアイデアだ。 もっとも、より一般的には、サプライサイド経済学はラッファーカーブとともに記憶されているかもしれない。南カリフォルニア

    「現代サプライサイド経済学」と「第三の道」――マクロ経済政策の見取り図(その3)/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/04/30
    ”政府の積極的な関与を通じて雇用を創出するという今のイエレン財務長官のアイデアは、菅直人総理の「第三の道」における「小野理論」を思い出させるものだ。”
  • 日本の産業と経済政策 ―― 過去、現在、未来 / 岩田規久男、南部鶴彦最終講義 特別講師・八田達夫 | SYNODOS -シノドス-

    2013年1月16日、さまざまな功績を残してきたふたりの経済学者、岩田規久男氏、南部鶴彦氏の最終講義がひらかれた。特別講師として八田達夫氏をむかえて開かれた講義には、日や世界で活躍する経済学者たちが集っていた。長年の教員生活において、彼らはどのような研究を行い、業績を残してきたのか。現代の日が抱えるエネルギー政策、経済政策の問題とは。そして若い経済学者になにを期待するか。ここに記録する。(構成/金子昂) 宮川 みなさん、日はお集り頂きありがとうございます。司会を務めさせていただきます学習院大学の宮川努です。今日は「日の産業と経済政策 ―― 過去、現在、未来」と題し、今年度かぎりで学習院大学を退職される岩田規久男先生、南部鶴彦先生の最終講義を行います。なお特別講師として、八田達夫先生にもご参加いただいております。 まずは南部先生と岩田先生に、日の産業政策とマクロ経済政策について、

    日本の産業と経済政策 ―― 過去、現在、未来 / 岩田規久男、南部鶴彦最終講義 特別講師・八田達夫 | SYNODOS -シノドス-
    maturi
    maturi 2023/04/21
    岩田規久男先生、若き日を振り返る リフレ派の私にとっては大変興味深い内容である
  • 財政ファイナンス――不思議な「現代財政理論」/中里透 - SYNODOS

    の財政をめぐる議論には時としてユニークな見解が登場する。「増税をすると将来不安が消えて消費が増える」がその代表例であるが(この点については後半で詳述)、「財政ファイナンス」をめぐる議論もそれと並んで興味深いものだ。安倍元総理の「日銀は政府の子会社」という発言をうけて、このところまた財政ファイナンスという言葉をよく見かけるようになったが、その意味するところは必ずしも明らかではない。 そこで、以下では財政ファイナンスというキーワードをもとに、政府と中央銀行の関係や財政政策・金融政策の運営のあり方について考えてみたい。 1.「財政ファイナンス」と中央銀行の「独立性」 データを確認することの重要性 経済政策をめぐる議論については、それぞれの人の政治的・社会的な立場によって意見が分かれることが少なくない。財政ファイナンスをめぐる議論も2013年以降に採られてきた経済政策の枠組み、すなわちアベノミ

    財政ファイナンス――不思議な「現代財政理論」/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/03/17
    ”不思議なのは、財政規律の確保に責任を持つべき主体は財政当局あるいは政府であるということがすっかり忘れられて、財政規律の弛緩についてなぜか中央銀行に批判の矛先が向けられることだ。”
  • 「財政赤字容認論」は許容できるか――景気減速と「反緊縮」の経済学/中里透 - SYNODOS

    このところ、財政支出の拡大を求めるさまざまな提案の是非をめぐって、活発な議論が行われている。今年の春から夏にかけてはMMT(現代貨幣理論・現代金融理論)が注目を集めたが、財政政策の役割を重視する考え方は、「正統派」とされる経済分析の枠組みにおいても広がりをみせている。もちろん、このような「財政赤字容認論」に対しては根強い批判もある。 残念なのは、財政赤字の容認や積極財政の是非を問うこのような議論が、ともすると極端な方向に流れがちなことだ。財政支出の拡大を懸念するあまり、いきなり「国債暴落」や「ハイパーインフレ」を持ち出すとなると、財政が破綻する前に議論のほうが発散してしまうことになるだろう。 そこで、稿ではこれまでの財政運営をめぐる経過を振り返りつつ、財政赤字容認論はどこまで許容できるかについて論点整理を試みることとしたい。以下ではまず日の財政状況について確認したうえで、財政赤字容認論

    「財政赤字容認論」は許容できるか――景気減速と「反緊縮」の経済学/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/03/17
    、シムズ理論とMMTが話題になったのとほぼ同じ時期に、有力な経済学者から財政政策の役割を重視する見解の表明が相次い(Krugman(2018),Blanchard(2019),Furman and Summers(2019))。
  • 「シムズ理論」・MMTと「成長率・金利論争」――マクロ経済政策の見取り図(後編)/中里透 - SYNODOS

    2013年4月に黒田総裁のもとで量的・質的金融緩和がスタートした時点では、「大胆な金融緩和」が景気と物価の押し上げに大きな効果をもたらすものと期待された。だが、14年4月の消費税率引き上げ(5%から8%へ)をきっかけに消費が大きく落ち込んで景気の停滞が続き、物価上昇のペースは次第に鈍化していった。 景気と物価の弱い動きをうけて、14年10月には追加緩和が実施され、16年1月にはマイナス金利政策の導入が決定されたが(2月の積み期間から実施)、16年中の消費者物価指数(対前年同月比)がほぼ毎月マイナスで推移するなど物価の動きは弱いままで、「2%」の物価安定目標は未達の状態が続くこととなった(ここまでの経過の詳細については前編(https://synodos.jp/opinion/economy/28684/)をご参照ください)。 こうした中、2017年頃からは「シムズ理論」(物価水準の財政理論

    「シムズ理論」・MMTと「成長率・金利論争」――マクロ経済政策の見取り図(後編)/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/03/16
    ”アベノミクスと異次元緩和はさまざまな思い出を残しつつ、いよいよ終幕となる。この10年のドラマに続くマクロ経済政策の「これから」はどのような姿になるのだろう。引き続き注目していきたい。”
  • 「リフレ派」と「日銀理論」と「植田裁定」――マクロ経済政策の見取り図(前編)/中里透 - SYNODOS

    金融政策の運営をめぐる「岩田・翁論争」と「植田裁定」から30年が経過した。中央銀行(日銀行)が能動的にマネーを市場に供給することができるか否かをめぐって岩田規久男氏(当時は上智大学経済学部教授)と翁邦雄氏(当時は日銀行調査統計局企画調査課長)の間で行われた論争は、短期には困難、長期には可能という植田和男氏(当時は東京大学経済学部助教授)の論点整理によって決着するかに見えた。 だが、議論はこれで収束とはならず、岩田・翁論争は「リフレ派」と「日銀理論」の間の論争という形で引き継がれ、いまも続いている(「日銀理論」は、通貨供給の受動性や能動的な金融政策の限界を強調する見解を「リフレ派」が批判をする際に用いられる用語であるが、代わりになるよい用語が見当たらないため、稿では「日銀理論」という表記をそのまま使うこととする)。 白川方明総裁(当時)のもとでの金融政策の運営については、日銀理論に沿っ

    「リフレ派」と「日銀理論」と「植田裁定」――マクロ経済政策の見取り図(前編)/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/03/10
    「日銀理論」は、通貨供給の受動性や能動的な金融政策の限界を強調する見解を「リフレ派」が批判をする際に用いられる用語である
  • 黒田日銀総裁バッシングの問題点/柿埜真吾 - SYNODOS

    発言を恣意的に切り取った報道 日銀行の黒田東彦総裁がきさらぎ会での講演【注1】の中で「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言したことへの批判が広がっている。総裁は庶民の苦しみをわかっていない、総裁は買い物をしたことがあるのかといった怒りの声が上がり、黒田総裁も謝罪に追い込まれた。与野党の政治家からも批判が相次ぎ【注2】、共同通信の世論調査でも黒田総裁を不適任とする回答が6割となった【注3】。黒田総裁は猛烈なバッシングを受けている状況である。 しかし、黒田総裁がどんな文脈で値上げ許容度が高まっていると発言したのか、読者は正確にご存じだろうか。怒りに身を任せる前に、きちんと情報を確認してほしい。 きさらぎ会での黒田総裁の講演は、現在の資源高を乗り越えるには賃金上昇が必要であることを訴えたものである。黒田総裁は、資源高の下で消費者が値上げを受け入れているのだから、賃上げが必要であり、日銀は企

    黒田日銀総裁バッシングの問題点/柿埜真吾 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/02/19
    ”議論の劣化しか招かない個人攻撃” リフレ派人士がいうと重みがある
  • 「植田日銀」は「出口」を出られるか――物価高と金融政策の今後について考える/中里透 - SYNODOS

    マクドナルドのハンバーガーが170円になった。税込みの価格でみると20年前の3倍近くの値段になったことになる。「100円マック」は消費税率が10%になったのを機に110円となったが(2019年10月)、その後の60円分の値上げはいずれもこの1年間に行われたものだ。このことひとつをとってみても、最近の「物価高」のすごさがわかる。 これほどまでではないが、スーパーで買い物をしてレジで会計をすると、同じような買い物なのに、前よりも100円玉を1枚か2枚余計に出さないと会計ができなくなったという経験をした人も少なくないだろう。毎月(あるいは2か月に一度)送られてくる電気代、ガス代の請求書(払込票)をみて、ため息をついている人もいるかもしれない。実際、消費者物価指数のデータでは、月に1回以上購入する品目の物価は前年同月比で8%近い値上がりとなっている。 もっとも、こうした中にあっても、品とエネルギ

    「植田日銀」は「出口」を出られるか――物価高と金融政策の今後について考える/中里透 - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/02/17
    事実陳列記事‥「量的·質的金融緩和」という名称がついてはいるものの、現行の金融政策の枠組みにおいて量的なコミットメントは存在せず、金融政策の運営は資金量ではなく金利をコントロールするものになっている
  • トランプの背後にある思想――『アメリカ保守主義の思想史』(青土社)/井上弘貴(著者) - SYNODOS

    2021年1月6日は、アメリカ史に残る日となった。この日、首都ワシントンDCのホワイトハウス近くの野外広場でトランプ大統領の集会がおこなわれた。この集会に参加した支持者たちの一部が、トランプの演説後、連邦議会議事堂に大挙して押し寄せ、議事堂に突入した。議会ではこの日、前年の大統領選挙の結果を受けて、各州から提出された選挙結果(選挙人団の数)を確認してそれを承認する手続きが進められていた。この作業は中断され、ペンス副大統領を含めた議員たちは避難を余儀なくされた。議事堂乱入は死傷者が出る事態となった。 トランプはこの日の演説の最初に、かれの集会でのお決まりの発言だが、支持者たちの背後にいるカメラや報道関係者を指さして、「フェイクニュースメディア」と呼び、かれらこそが問題だと支持者たちを焚きつけた。事実であるかそうでないかは別として、メディアはエリートたちによって牛耳られており、正しいニュースを

    トランプの背後にある思想――『アメリカ保守主義の思想史』(青土社)/井上弘貴(著者) - SYNODOS
    maturi
    maturi 2023/02/14
    政府の対外政策を批判した側には、保守も含まれていた。それは、ネオコンと激しく対立したペイリオコンと呼ばれる潮流である。その後、ペイリオコンたちはトランプを熱狂的に支持する知識人グループになっていった