先行記事【主要国の対外純資産額】で財務省の公開データを基に、主要国の対外純資産額の実情を確認した。今回はその資料で用いられている一次データとなるIMFのデータベースから値を抽出し、世界全体の国を精査対象として対外純資産の実態を見ていくことにする。先の記事では日本が最大の純資産保有国、アメリカ合衆国が最大の純負債保有国だったが、全世界ではどのようにランキングは変わるのだろうか。 対外純資産とは対外資産と対外負債を合算したもの。「対外」とは該当国が他国に保有している資産や負債のこと。詳しくは「主要国の対外純資産額」で説明しているのでそちらをご参照いただきたい。 次に示すのはIMFのデータベースで対外純資産額を確認できる国のうち、年ベースで取得可能な最新値となる2022年分がある国はその値、またない国は取得可能な2005年以降の値で最新のものを適用した計161か国について、上位国と下位国を抽出し
核家族世帯と三世代、そして単身世帯それぞれで大きく異なる世帯所得…世帯構成の世代別・平均世帯所得金額(最新) 厚生労働省が2023年7月4日に発表した令和4年版(2022年版)の「国民生活基礎調査の概況」によると、2021年時点における全世帯の平均世帯所得は545.7万円とのこと。この金額は世帯構成や各世帯の事情によって大きな違いを見せる。例えば三世代世帯で稼ぎ頭が複数いれば世帯所得は大きく増え、単身世帯で年金暮らしならば世帯所得は小さなものとなる。そこで今回は、世帯における世代構成による、平均世帯所得の違いを見ていくことにする(【発表ページ:令和4年 国民生活基礎調査の概況】)。 今調査の調査要件および注意事項は、先行記事の【世帯平均人数は2.25人…平均世帯人数と世帯数の推移(最新)】で解説しているので、そちらを参照のこと。 次に示すのは、最新値となる2021年分(今調査最新分は202
文部科学省の定点観測的調査の一つ【学校基本調査】を基にした大学進学率に関する精査記事【大学56.6%・短大3.7%、前世紀末から漸増中…大学進学率(最新)】の中で、直近の不況時期において、大学進学率が低下の動きを示していたこと、その低下の原因のひとつに「就職活動で『大学卒業』ブランドの効力が落ちてきた」実情があるとの解説をした。そこで今回は、その大学生における就職状況を確認していくことにする。 直近となる2022年においては、同年3月の大学卒業者のうち、正規・非正規雇用を問わず就職した人は74.5%。大学院や専修学校、海外の学校への入学など進学をした人は12.4%。一時的な仕事に就いた人は1.9%、進学も就職もしていない人(就職浪人や資格取得のための勉強、花嫁修行や結婚による専業主婦化など)は9.4%となっている。 そのうち「就職した人」の中で「非正規就業(フルタイムの契約社員、派遣社員)
・(実)収入……世帯主の収入(月収+ボーナス臨時収入)+配偶者収入など ・支出……消費支出(世帯を維持していくために必要な支出) +非消費支出(税金・社会保険料など) +黒字分(投資や貯金など) (※可処分所得=消費支出+黒字分) ・エンゲル係数……食料費÷消費支出 となる。 エンゲル係数そのものはドイツの社会統計学者エルンスト・エンゲル(Ernst Engel)が提唱した指数で、「家計の消費支出に占める飲食費割合が高いほど生活水準は低い」との説に基づいている。よほどの富裕層(そしてそれらはごく少数)でない限り、食費の額に大きな違いは出ず(ただし今家計調査でも明らかな通り、差額が生じるのもまた事実)、一方で食費そのものはどの家庭でも必ず発生する。そして食は一般の人においては趣向とは関係のないものとの認識があった。従って、全体の支出に占める比率は、消費支出そのものが大きくなるほど低くなる・食
国際石油資本BP社では毎年、公式サイト上にエネルギー関連の動向をまとめた白書「Statistical Review of World Energy」を公開している。そこには主要国の多彩なデータが盛り込まれており、エネルギー関連の状況を把握するのには、大変有意義な資料となる(【Statistical Review of World Energy】)。今回はこのデータを用い、各国における太陽光発電や風力発電などで構成される、再生可能エネルギーの発電量動向を見ていくことにする。 中国がトップ、アメリカ合衆国が続く 今資料では最新の2022年分だけでなく1965年以降における、各再生可能エネルギー発電所による発電量を算出している。今回は最新の公開内容における値(EJ(エクサジュール)。例えば東日本大震災のマグニチュードは9.0だが、その際に放出されたエネルギー総量は2.0EJとされている)が0.1
昨今では多くの人が通い卒業することになる大学。その修学費用に関して金額の負担の大きさが問題視される一方、かつて大学へ修学していた人たちによる「大学授業料位は自分の手で稼いだものだ」とする意見を少なからず見聞きする。そこで今回は【50年前の商品の価格を今の価格と比較してみる】で用いた手法を流用する形で、総務省統計局における公開値【小売物価統計調査(動向編)調査結果】から各種計算を施し、大学授業料の推移を確認していくことにする。 上昇続ける大学授業料、やはり私立の方が高い グラフを作成・精査するデータの取得元は上記にある通り、総務省統計局における小売物価統計調査。東京都区部の小売価格を参考に、70年強前の1950年以降、一年間を終えて年平均が算出できる直近の2022年分までの値を随時取得していく。さらに月次に限れば現時点で2023年5月まで取得可能であることから、その5月分を取得してこれを20
高温や好天で行楽需要活性化、おにぎりや菓子、冷え物が堅調だが、前年のチケット特需の反動…2023年11月度のコンビニ売上高は既存店が0.1%のマイナス、21か月ぶり 日本フランチャイズチェーン協会は2023年12月20日に、コンビニエンスストアの2023年11月度分統計調査月報を、同協会公式サイト上で公開した。その内容によると協会加盟コンビニの同月度の売上高は既存店前年同月比でマイナス0.1%となり、21か月ぶりのマイナスを示すこととなった。高温と好天に恵まれたことで行楽需要が活性化し、おにぎりや菓子、アイスクリーム、ソフトドリンクがよく動いたのが売上に貢献した。しかし前年同月はチケット特需があり、その反動の結果として客単価が大きく下がり、売上は微減となった(【日本フランチャイズチェーン協会公式ページ】)。 ●店舗売上高:既存店は21か月ぶりのマイナス、全店は24か月連続のプラス 全店ベー
アメリカの調査機関【Pew Research Center】は2012年8月22日、アメリカ合衆国における「中流階級意識」に関する調査報告書【The Lost Decade of the Middle Class】を発表した。今回はその中から、約半世紀に渡る同国の世帯年収推移を見ていくことにする。 今回参照するレポートのページは【Chapter 6: Census trends for Income and Demography】だが、データは【United States Census Bureau(米国勢調査局)】から直接取得する。 まずは同局のデータベース内から【Table F-3. Mean Income Received by Each Fifth and Top 5 Percent of Families】と、【Table H-5. Race and Hispanic Origi
サイト概略&執筆者 ・サイト概要 経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせて解説を行うサイトです。 サイトオープン:2005/09/27 (2009/02/17に今ドメインへ移行) 【更新通達用ツイッターアカウント】 【Facebookページ】 ・執筆:不破雷蔵 早稲田大学商学部卒。投資歴10年超。本業のFP事務所では分析や事務などを担当。ウェブの世界には前世紀末から本格的に参入、ゲーム系を中心とした情報サイトの執筆管理運営に携わり、その方面の経歴は10年を超す。商業誌の歴史系、軍事系、ゲーム系のライターの長期経歴あり。ゲームと歴史系(架空戦記)では複数冊本名での出版も。経歴の関係上、経済、数理的な分析、軍事、歴史、ゲーム、ゲーム情報誌、アミューズメント系携帯開発などに強い。現在ネフローゼ症候群で健康
先日【2011年版『出版物販売額の実態』を入手】で報告したように、昨年【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる】などで用いた、出版業界のデータを網羅した『出版物販売額の実態』の最新版「2011年版」を入手することができた。そこで【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)】などのように、逐次「2010年版」で作成したデータの更新と、内容の再検証を行っている。今回は書店の売上高などをグラフ化した記事の更新を行う事にする。なお最新版は昨年版と比べて過去のデータも再精査の上で修正が入っているため、昨年版を元にした記事内容やグラフと、違いが生じる可能性がある。 前回のグラフで第二位に入っていた丸善だが、今回はランキング落ち……ではなく、除外されている。これは【連結子会社の会計方針の変更及び当社の連結業績予想の修正に関するお知らせ(PDF)】などにも
国立社会保障・人口問題研究所は2016年9月15日、同研究所が日本国の結婚や夫婦の出生力の動向などを長期的に調査・計量している「出生動向基本調査」の最新版となる「第15回出生動向基本調査」に関し、独身者対象の調査と夫婦対象調査の双方の調査結果を発表した。今回はその公開データを基に、日本の結婚に関わる問題として注目を集めている要素の一つ、恋愛結婚・見合い結婚の動向に関して確認していくことにする(発表リリース:【第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)】)。 減るお見合い結婚の割合、増える恋愛結婚率 今調査は基本的に5年おきに実施されているもので、直近値となる2015年実施分は2015年6月に、同年6月1日時点の事実について調査したもので、調査対象は独身者調査で18歳以上50歳未満の独身者、夫婦調査は妻の年齢が50歳未満の夫婦(回答者は妻)。調査対象地域は2015年国民生活基礎調
【三菱重工業(7011)】は2011年7月12日、次世代型のLNG(液化天然ガス)運搬船として、球形タンクを搭載するMOSS(モス)方式(タンクを円筒形の支持構造で固定する方式)を進化させた「さやえんどう“EXTREM(エクストリーム)”」船型の開発を完了したと発表した。タンクを船体と一体化した連続カバーで覆うことで船全体の構造を効率化し、軽量・コンパクト化を実現。三菱重工側ではこの方式の採用により燃費を従来船比で2割以上改善し、経済性を向上、ターミナルへの適合性やメンテナンス性を高めた。同社ではLNG船分野をリードする戦略製品として、早期受注を目指すと説明している(【発表リリース】)。 ↑ さやえんどう“EXTREM(エクストリーム) ↑ 比較資料・モス方式のタンカー(【What is Required to Bring LNG to Hong Kong】より) 「さやえんどうEX
今記事のデータ取得元および用語の解説は一連の記事のまとめページ【世界の食料価格の推移(FAO発表)】で説明を行っているので、そちらで確認してほしい。 まずは、収録されている全データを使った折れ線グラフを生成する。中長期的な食料価格の変移概要がつかめる、資料性の高いものだ。 砂糖は元々相場変動性の高い食料品のため変動が激しいものの、それ以外は2005年前後までは50-150の領域でほぼ留まっていたことが分かる。それが先の「サブプライムショック」に始まる2007年以降の市場動乱を皮切りに大きなうねりを見せ、全体的に上昇傾向にあるのが確認できる。特に「サブプライムショック」の急上昇とその後の大きな反動による下落の後に起きた「リーマンショック」(2008年9月)以降は、全体的に上昇する一方。 目に留まる点として、2005年前後の砂糖の高値がある。これは干ばつによる砂糖の不作(ブラジルやタイなど)に
以前【選挙運動のネット利用解禁、賛成32.5%・反対14.3%・過半数は判断保留】や【ネット選挙運動、賛成4割・「判断できない」も4割強】などで、若年層の選挙参加問題や、それに関連して政策が若年層から離れつつあることについて触れた。他方【選挙参加68.8%・成人式参加は70.0%…新成人の「権利」や「しきたり」への参加意向】にもあるように、若年層にも「投票しないとどうにもならないじゃん」的な意識が芽生えている気配も感じられる。そんな中、先日、日経ビジネスオンラインで[子供にも1票で「シルバー民主主義」は変えられる?「機会費用」「デーメニ投票法」で考える政策の高齢者バイアス]なる記事が掲載された。要は「高齢化で有権者の数も有効投票率もシルバー世代が増えた。若年層は投票参加コストも高く投票率は低いが、シルバー層は低コストなので投票率も低い。ますます政策決定に高齢者層の移行が強く反映される。だっ
電気事業連合会は2011年5月20日、2011年4月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年4月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で693億kWhとなり、前年同月比でマイナス6.5%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス6.2%を記録し、2か月連続して前年同月の実績を下回ることになった。震災の影響が色濃く出ているものと思われる(【発表リリース、PDF】)。 今調査の概要および用語解説は過去の記事をまとめたページ【大口電力使用量推移(電気事業連合会発表)】で解説している。そちらで確認をしてほしい。 2011年4月においては大口全体で前年同月比マイナス6.2%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる。 今月は前月同様に、むしろ先月以上の項目数で前年同月比マイナスを見せている。数字が良好化したの
政治的要因で最近特にスポットライトがあてられている「少子化対策・問題」だが、先日「このような興味深い図がある」というアドバイスをいただいた。しっかりとした裏付けのある機関発の(というより公的機関の情報を精査した)グラフなのだが、確かに興味深く、当記事題名にもあるように直観的に「少子化対策が急務であることがひとめで分かる図」に違いない。そこで今回はその図を紹介していくことにする。 その図とは、【国立社会保障・人口問題研究所】発のもの。以前【日本の人口は2055年に8993万人へ減少、国立社会保障・人口問題研究所発表】でも紹介したように、国勢調査をはじめとした公的機関が調査データを精査分析し、色々なレポートを提示、各種政策などに役立てる素材を生成するシンクタンクの一つだ。そして研究所名から分かるように、同所では日本の人口そのものと、日本を支える社会保障に関する問題を主要探求テーマとしている。
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