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ブックマーク / note.com/tkomine (8)

  • 経済学の基礎で考える日本経済11   「物価の指標としてのGDPデフレータについて」|小峰隆夫

    一昨日(8/18)の日経新聞に「6月の交易条件、11年ぶり悪化幅」という記事がある。その中で「政府がデフレ脱却の指標として重視する『GDPデフレータ』もマイナスに転じる見通しだ。」とある。そこで、物価の指標としてのGDPデフレータについて考えてみよう。 しばしば、GDPデフレータは物価の総合的な指標だと考えられている。デフレータは、GDPの名目値を実質値に割り引く指標である。例えば、名目個人消費を個人消費デフレータで割り引くと実質個人消費が得られる。すると、経済全体の経済活動である名目GDPを割り引くGDPデフレータは、経済全体の物価を示す総合的な指標だと考えたくなる。しかし、GDPを物価の総合指標と考えるのは誤りである。 式で示してみよう、 実質GDPをY、実質国内需要をD、実質輸出をE、実質輸入をM それぞれのデフレータを、Py、Pd、Pe、Pmとする。PyがGDPデフレータである。

    経済学の基礎で考える日本経済11   「物価の指標としてのGDPデフレータについて」|小峰隆夫
    maturi
    maturi 2022/12/10
    GDPから物価の総合指標を得たいのであれば、「総需要デフレータ」または「国内需要デフレータ」を使うべきであろう。
  • 経済学の基礎で考える日本経済14 「川上からの物価上昇」|小峰隆夫

    日(11月12日)の日経新聞に「原材料急騰、企業を圧迫、企業物価40年ぶり伸び、消費財への波及焦点」という記事がある。これは、川上(輸入段階)で生じた物価上昇が、原材料→中間財→最終財と波及していく時、価格転嫁が進まないと、企業収益の悪化要因になるというストーリーである。このストーリー自体は正しい。 この記事の中で、10月の企業物価指数の上昇率を段階別にみると、川上の素原材料から中間財を経て最終財へと川下に行くにしたがって物価上昇率が低くなっていることを紹介し、このように価格転嫁が進まないことが企業収益の悪化要因になっていると指摘している(私が適当に要約)。 日銀行の企業物価指数の原典に当たってみよう。10月の企業物価指数の上昇率(前年比)を段階別にみると、素原材料(63.0%)→中間財(14.3%)→最終財(3.8%)となっている。確かに川下に行くほど上昇率は低く、企業はコストアップ

    経済学の基礎で考える日本経済14 「川上からの物価上昇」|小峰隆夫
    maturi
    maturi 2021/11/13
  • ウォームハートとクールヘッドで考える日本経済7 「矢野財務次官の文藝春秋掲載論考について」|小峰隆夫

    文藝春秋11月号に、矢野財務次官の「財務次官、モノ申す『このままでは国会財政は破綻する』」という論考が掲載され話題になっている。現職の次官が経済政策の方向性と財政再建の重要性について明確に所論を述べたのだから、話題になるのも当然だ。 私も読んでみたが、その内容についてはほとんど全面的に同意する。①日の国民は気でバラマキを歓迎するほど愚かではない、②経済成長だけで財政が再建できるとするのは夢物語、③経済対策を議論するのであれば、その財源をどうするかを議論するのが先進国の常識、④昨年の10万円給付は意味のある経済政策ではなかった、⑤給付を配らなくても、コロナが終息すればおのずと消費活動は活発化する、⑥金利が名目成長率よりも低くても国債残高のGDP比は上昇しうる、⑦消費税率を引き下げるという提案は問題だらけ、いずれも正しい。 ここではその内容ではなく、現職の公務員が政策についての意見を公にす

    ウォームハートとクールヘッドで考える日本経済7 「矢野財務次官の文藝春秋掲載論考について」|小峰隆夫
    maturi
    maturi 2021/10/23
  • ウォームハートとクールヘッドで考える日本経済5 「ポール・クルーグマンの経済観」|小峰隆夫

    今日(9/13)は新聞休刊日なので、朝の時間がだいぶ浮いた。なんだか得をした気になるが、「では、新聞はないほうがいいのか」というとそんなことはない。人間の心理というものは不思議なものだ。 時間が空いたので、手元の中央公論(10月号)を見ていたら、ノーベル経済学者ポール・クルグマンのインタビュー記事が出ていた(「コロナと対峙する世界と日経済に必要なもの」)。私自身の考え方をチェックするためにも、クルーグマンの考えに対する私の印象を整理しておこう。 1. 賛成、共感する点 「五輪の経済効果はほとんどない。特定の利害関係者に利益をもたらすだけである。」 これは私もその通りだと思う。にもかかわらず多くの人が「五輪で景気が良くなる」「五輪が終わると景気が悪くなる」と考えがちなのは、「確実に起きることを重視しがち」というバイアスのためだと思う。 各国の経済成長率について問われた際に、繰り返し「現在の

    ウォームハートとクールヘッドで考える日本経済5 「ポール・クルーグマンの経済観」|小峰隆夫
    maturi
    maturi 2021/09/24
    中央公論10月号クルグマンインタビュー:生産年齢人口一人当たりの実質GDP成長率は、アメリカよりも高い→「女性や高齢者を『動員した』結果、労働力人口増だから」=経済の効率が高まっているわけではない
  • 経済学の基礎で考える人口問題4  生産年齢人口の減少と経済成長率|小峰隆夫

    5月7日の日経済新聞に「伸びぬ人口、成長の重荷」という記事が出ている。先進諸国で生産年齢人口が減少しており、これが成長率の低下をもたらしているという内容だ。私なりに少し解説してみよう。 第1に、この記事で強調しているように、人口変化の中で「生産年齢人口の変化」に注目するのは大変重要なことだ。人口が減り始めると、第1段階として、人口ピラミッドの底辺が狭くなり、中膨れの状態になる。中膨れの部分は生産年齢人口だから、この状態では、「働く人が人口に占める割合が高まる」ということになり、人口要因が経済成長にプラスに作用する。これは「人口ボーナス」と呼ばれる。日の高度成長や近年のアジアの高成長は、この人口ボーナスの時期と重なっている。 ところがこの状態は長くは続かない。中膨れの部分が高齢層に移行していくと、今度は人口ピラミッドは逆三角形となり、「働く人が人口に占める割合が低下する」こととなり、今度

    経済学の基礎で考える人口問題4  生産年齢人口の減少と経済成長率|小峰隆夫
    maturi
    maturi 2021/09/24
    生産年齢人口で見た生産性は上昇。「生産年齢人口の減少を、生産性の上昇で乗り越えた成長」に見えるが、女性や高齢者(主に非正規)を動員して人手不足を補った→労働者の生産性はあまり上がっていない
  • ウォームハートとクールヘッドで考える日本経済 坂本貴志著「統計で考える働き方の未来」から|小峰隆夫

    エコノミスト(1月19日号)に、坂貴志氏の「統計で考える働き方の未来」の書評を書いた。少し捕捉したい。 我々は、経済について漠然としたイメージを持っている。そのイメージは、日ごろ目にしている情報、会話、ニュースなどからいつの間にか形成されていることが多い。ところがこうした漠然としたイメージを統計的に確かめて行くと、意外に当初抱いていたイメージが必ずしも正確ではないことが分かることがある。こうした世間の常識的なイメージをデータで確かめ、「実は異なる真実の姿」を知ることは、経済分析の醍醐味の一つである。 しかし、こうして得られた知見を世間に明らかにすることがためらわれることがある。多くの人のイメージは、ウォームハートに基づいている場合が多く、これに反する事実を指摘すると、指摘した人間がウォームハートに欠ける人物だと誤解されかねないからだ。 私自身は、できるだけこうした雑念に惑わされずに、デー

    ウォームハートとクールヘッドで考える日本経済 坂本貴志著「統計で考える働き方の未来」から|小峰隆夫
    maturi
    maturi 2021/01/10
    非正規雇用者だけを取り出してみると、賃金はここ数年着実の上昇している。構成比効果によって全体の賃金は上がっていないように見えてしまうのである。
  • 経済学の基礎で考えるコロナ危機 「Go Toキャンペーンの評価」|小峰隆夫

    Go toトラベルやGo Toイート・キャンペーンは、困った人(事業者)を救いたいという善意に裏付けられた政策であるだけに、ちょっと批判しにくい面があるのだが、経済学の重要なところは「温かい心とクールな頭脳」の組み合わせにあるのだから、政策は政策として、きちんとロジカルに評価しておく必要がある。 これらGo Toキャンペーンには、「政策発動のタイミングの誤り」「事業者を救済するのに需要拡大策を割り当てている」という質的な問題点がありそうだが、長くなるのでここでは論じない。 もう一つ私が大きな問題だと思っているのは、このキャンペーンが(意図したわけでないのは当然だが)国民に次のような誤ったメッセージを伝えていることだ。 一つは、「積極的に旅行や外を行うべきだ」という誤メッセージだ。国民は、国が補助金まで出してキャンペーンを行っているのだから、キャンペーンを使うかどうかとは別に、一般的に旅

    経済学の基礎で考えるコロナ危機 「Go Toキャンペーンの評価」|小峰隆夫
    maturi
    maturi 2020/12/06
    「Go Toキャンペーンが、コロナ感染症の感染拡大または防止にとって最重要のポイントだ」という誤メッセージだ
  • 東京一極集中と出生率の関係|小峰隆夫

    2020年10月23日の日経済新聞経済教室で、山崎朗氏が「東京都から地方に人口移動を促せば日出生率、出生数が高まるというのは、仮設というよりも幻想に近い」と述べている。全くその通りだ。以下私の考えをやや詳しく述べよう。 地域振興、地域創生は10年に1度くらいの周期で政府の重点施策として取り上げられ、そのたびに何らかの新機軸が打ち出されてきた。1988~89年に当時の竹下登総理の肝いりで行われた、全自治体に使途自由の1億円を一律配布した「ふるさと創生1億円事業」がその典型だ。 2014年からは、安倍内閣の下で地方創生への取り組みが始まり、現在も進行中である。 この地方創生がこれまでの地域振興と大きく異なる点は、それを人口政策と関係付けた点にある。「まち・ひと・しごと推進部が決定した「地方創生推進の基方針」(2014年9月12日)では、「50年後に1億人程度の人口を維持するため『人口

    東京一極集中と出生率の関係|小峰隆夫
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