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ブックマーク / www.shenmacro.com (37)

  • 中国はデフレに金融引締めで対抗 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    中国経済の定点観測。中国の4-6月期の実質GDP成長は前年同月比+4.7%となり、政府目標の+5%ペースを下回ったが、上半期全体で均すと+5%ペースが続いていることになっている。ブログなどは未達どころか今年4%も割れるに決まっていると言ってきたので未達でも+4.7%というペースは驚きであるが、これにはカラクリがある。デフレ(デフレーターが-0.7%)なので実質GDPが膨らんで見えるのである。 名目GDPに直すと4%となる。インフレ下の名目GDPからインフレで膨らんでいる分を控除すべきなのは分かるとして、(日も経験してきたように)デフレ下のGDPは名目値で見る方が体感に近い。ここまでが教科書的だとして、中国の場合、GDPやCPIのボラティリティと比べてGDPデフレーターのボラティリティがあまりにも大きいし、我々がイメージする過去の中国景気の推移と合わせるとデフレーターの方がGDP体では

    中国はデフレに金融引締めで対抗 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2024/07/18
    皆さんの含み益がぶっ飛ぶ時間がやって参りました
  • 米国の賃金インフレは何の疑念もなく減速 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    雇用者数が再び跳ねた「2024年の春」 米国の雇用にブログが注目しなくなって久しい。2023年中は新規雇用者数をNFP(Non-Farm Payroll、米国非農業部門雇用者数)で見てもADP雇用統計で見ても金融引締めの影響で低調さが続いた。しかし2024年春になるとどちらも盛り返しており、元々遠かった雇用の緩みがもたらす景気減速への望みが更に遠ざかった形になる。「2024年春の改善」は他の米国の指標とシンクロしたものであり、これだけ雇用が堅調だと労働市場の逼迫の解消は遠ざかり、賃金インフレが再燃して「Fedは早期に利下げできないのではないか」という懸念が再び持ち上がった。 JOLTSと失業率 もちろんそれは勘違いであり、雇用者数以外のどの指標を見てもインフレーショナリーにはなっていない。絶対水準はまだまだ低いものの、失業率は淡々と上昇している。正社員になりたいのにパートに甘んじている労

    米国の賃金インフレは何の疑念もなく減速 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2024/06/06
    USA強い
  • 米国経済に中国が与え得る影響の論文 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    パンデミック後の中国経済の不確実性の捉え方は極めて難しい課題になっている。チャイナショックの時と違って、中国がデフレーションに転落したという事象は先進諸国にマクロなインパクトをほとんどもたらさなかった。中国からのデフレ輸出や不況輸出も目立って観測されておらず、先進諸国の経済を分析する際にどのように中国ストーリーを添加すればいいのか手探りになっている。ブログなどは「影響は非連続的に発現するだろう」と言葉を弄しているが、とにかく「中国は案外デフレを輸出しない」は2023年後半以降のマクロ予想の精度を問う試験の中で重要な設問だったに違いない。 中国経済の動きが先進諸国に与える影響について何かオーソライズされた見方はないものか。NY Fedの調査部門のエコノミスト達が執筆しているブログ"Liberty Street Economics"が中国経済の予想外の回復とクラッシュが2年程度のスパンで米国

    米国経済に中国が与え得る影響の論文 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
  • 日本銀行は憎きマイナス金利政策をついに撤廃 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    2016年1月に騙し討ちで導入され、以降8年余りにわたって金融機関の収益を圧迫してきた憎きマイナス金利政策がついに撤廃された。同時にYCCとオーバーシュート型コミットメントもゴミ箱に放り込まれた。植田日銀が始まってちょうど1年になるが、前任者の負の遺産の大半を綺麗さっぱりに片付けたことになる。まだ海外勢のYCCアタックへの対応を懸念されていた就任当初には、一連の作業が不可能でないにしても極めて困難なものとは思われていたことを想起すると実にめでたい。 3~4月のマイナス金利政策撤廃の織込みは1月会合で既に始まっており、どちらかのタイミングで撤廃されることはその時点から確実視できていないといけなかった。これは大前提である。「総じて4月は当然として3月会合でのマイナス金利政策撤廃もライブであるとの印象を与えることになった」と前回の記事でも述べている。それでもブログの3,6,9,12月空振り論か

    日本銀行は憎きマイナス金利政策をついに撤廃 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2024/03/26
    タイトルとはズレて、3月リークのまとめ集大成みたいなエントリー
  • 全人代で幻に終わる中国の財政拡張期待 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    中国経済については昨年厳しめの記事を連発してから力尽きていたが、この間に一度財政拡張の期待というものが盛り上がっていた。2023年10月24日に中国の全人代(国会みたいなもの)常務委員会は財政赤字の拡大を可決した。前回の記事では「確かに理論的には春の全人代会期以外でも2ヶ月に一回開かれる全人代常務委員会(次回は10/20 -24)で補正予算を組むことは可能であるが、ある程度の埋蔵金的な資金を使える可能性はあるものの、財政赤字拡大まで踏み込む可能性は高くない。2023年暮れにあえて財政拡張を行うとすれば、それは2023年の成長目標の5%達成が危うくなった時である。しかし、2023年はゼロコロナ政策からのリオープン効果があるのでさすがに5%成長は余裕である」とスケジュールまで調べてあったにもかかわらず、まさか当に財政赤字が年末に引き上げられるとは思っていなかった。全人代が開かれる春まで待てず

    全人代で幻に終わる中国の財政拡張期待 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2024/03/06
  • 春のマイナス金利政策撤廃が現実的に : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    12月の政策決定会合で壮大な空振りを演出した日銀の金融政策のその後について。植田日銀がマイナス金利政策の早期撤廃期待をにべもなく否定した後、年末にかけて米金利が更に大きく低下するなど外部環境も怪しくなり、年が明けるとすぐ能登半島地震が続き、1月会合の展望レポートで2024年物価見通しを引下げる観測まで出て来ており、いよいよマイナス金利政策撤廃も覚束なくなった。しかし1月会合は12月会合とまたまたガラッと雰囲気が変わった。 12月のチャレンジング・ショックでチャレンジングがどうマイナス金利撤廃を意味するのか全く付いていけなかったのと同様、1月会合が具体的にどのようにタカ的だったかも個人的にはよく分かっていない。1月会合の展望レポートが 「消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップがプラスに転じ、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まるもとで、見通し期間終盤にかけて物価安定の目標

    春のマイナス金利政策撤廃が現実的に : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2024/02/09
  • 中国は緊縮財政と内需崩壊によるデフレが続く : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    前回の記事では中国の8月の限界的な景気回復が内需ではなく外需回復主導のものであったとの仮説を立てたが、9月のデータはその見方に沿ったものになっている。中国PMIは国家統計局(NBS)版、財新(Caixin)版の二つがあり、それぞれ製造業とサービス業で合わせて4つあるが、9月分はNBS製造業PMIが緩やかに回復、財新製造業PMIが横ばい、NBSサービス業PMIが少し反発、財新サービス業PMIが続落となっている。製造業が極めて緩やかながらも上向き(景況感下げ止まり)になっており、中でも輸出に携わる大企業が多いNBSの方がその傾向が強く、一方でサービス業はリオープン効果をいつぶす形で明瞭な減速が続いている。サービス業主導の回復は存在せず、外需しか戻っていないことがPMIからも分かる。 中国の消費者物価(CPI)もコンセンサスを下回る0%近辺の推移が続く。生産者物価(PPI)はエネルギー価格上

    中国は緊縮財政と内需崩壊によるデフレが続く : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/12/07
    そのような指摘は当たらない。デフレは貨幣現象。マネタリーベースが足りないからだ
  • 蓋を開けてみると面白くない0DTE : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    今年に入ってから0DTEがバズワードになっており、指数や個別株の変動のドライバーとしてマーケットニュースでちょくちょく登場するようになっている。0DTEとは"zero-Day-To-Expiration"であり、一般的に24時間以内にエクスパイアする超短期のオプションを指す。昨年の記事でも一度取り上げた通り、SPXオプションのうち24時間以内にエクスパイアを迎える物の出来高は全体の4割を超える。0DTEの流行は2022年後半以降の出来事であり、恐らくは取引所が短期オプションの上場を増やしたことなどをきっかけであり、かつて個人投資家の間での給付金を使ったMeme株投資の流行とはだいぶタイミングがずれている。原資産は指数であったり、テスラ株などポピュラーな個別株だったりする。 主な参加者については個人投資家と決めつける声もあれば、個人投資家の取引に占めるウェイトは実は高くないとするデータもある

    蓋を開けてみると面白くない0DTE : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/09/26
    ODTEではない
  • マイナス金利のラストサムライの余命も見えてくる : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    7月のYCC再修正を経ても日の国債市場は概ね秩序を保った金利上昇が続いており、一方為替市場でもじわじわと円安が進んだ。そこに再び、日銀の植田総裁の読売新聞の単独インタビューが大きな波紋を呼んだ。曰く、「賃金上昇を伴う持続的な物価上昇に確信が持てた段階になれば、大規模な金融緩和策の柱であるマイナス金利政策の解除を含め"いろいろなオプション(選択肢)がある"と語った。現状は緩和的な金融環境を維持しつつも、年内にも判断できる材料が出そろう可能性があることも示唆した」。年内に実際にマイナス金利政策を解除する可能性が低い、或いは喫緊性が低いのであればあえてそのような表現をする必要はないので、年内のマイナス金利政策解除は一気に現実化した。マイナス金利政策撤廃の時の利上げはゼロ金利への10bp幅利上げになることは内田副総裁が既に述べていたが、短期金利市場では来年1月会合までのその10bp利上げの織込み

    マイナス金利のラストサムライの余命も見えてくる : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/09/17
  • 日銀YCCの持続可能化と円安の持続可能性 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    やや緊張感をもって迎えられた4/28の日銀金融政策決定会合では「連続指値オペを毎営業日行う」というギャグのような政策が発表された。YCC(イールドカーブ・コントロール)の持続可能性への疑念がこの会合で直ちに対処が必要なほど深刻であったことは間違いなかったようで、「それを断つには黒田日銀名物の逆切れ追加緩和しかない」とブログもギャグとしては辿り着きかけていたものの、さすがにそれ以上具体的な想像は進まなかった。ハトかタカかという切り方では180度真逆の答えが返ってきたことになる。 毎営業日連続無制限指値オペが「逆切れ」から導入されたことは、記者会見で市場の臆測、余計な臆測、無用な臆測などと「臆測」という言葉を7回も使っていることから分かる。「日銀行の金融政策としては、10年物金利をゼロ%程度に維持すると、それはプラスマイナス0.25%の範囲内であるということを非常に明らかにしているにもかか

    日銀YCCの持続可能化と円安の持続可能性 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/08/11
    2022.12 YCC上限での買支えはあくまでも受動的なものであり、従って売り手が増えない限り、日数さえ増やせば購入額が増えるわけではない。この連続指値オペをQE(量的緩和)の拡大と捉えるのは間違い
  • 日本銀行は脱兎の如くYCCから逃走 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    銀行は7/28の金融政策決定会合で2018年から続けてきたYCC(イールドカーブ・コントロール)政策をあっさりと「柔軟化」した。ブログとしては植田総裁の就任時点から一貫して「YCCの余命は長くない」「7月会合に限らず、全ての会合でYCC修正がライブであるとの従前のビューはまだ維持している。レビュー期間が1年〜1年半だからと言って期間中に金融政策を変えないとは誰も言っていない」と数ヶ月以内のYCCの再修正や撤廃を唱え続けてきた。更に「3月会合ではたとえ政策修正があったとしても海外の投機筋を儲けさせないせこい戦術とのパッケージになる」「4月会合ではもとより劇的な政策変更を打ち出すのは難しい」「±0.75%幅への修正だけはない」と意味もなく細かい決め付けをしたところまでが完璧に実現した。 この政策修正は十分なコミュニケーションを経て実行に移されたものであり、全くサプライズではなかった。にも

    日本銀行は脱兎の如くYCCから逃走 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/08/11
    "諸外国と違って日本ではガソリン価格に補助金でキャップを付けてきたので、コモディティ価格の前年比効果だけでCPIが自然と反落できる構造になっていない。"
  • 長短金利逆転=景気後退説の投資における敗北 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    S&P 500はボトムから20%上昇してブル・マーケット入りしたが、過去の多くのラリーがそうであったように幅広く納得はされていない。特に何かにつけて「債券投資家と株式投資家の温度差」が取り上げられてきた。曰く、米国債のイールドカーブがインバート(長短金利逆転)しているのは債券投資家がリセッション(景気後退)を織り込んでいるから、というのである。来この話題はブログで何度も取り上げてきた陳腐なものであり、金利カーブのインバートを見て「リセッションが来るから」と直近の株高に乗り遅れることなど投資家としてはあってはならないことであるが、思ったより至るところでこの論理が生存し使われているようなので、過去の記事からコピペしながらもう一度念押ししてみたいと思う。そんな理論に毒されているようでは、最初から金利とは何ぞやなど一切何も知らない方がマシだったというものである。 確かに昔からイールドカーブがイ

    長短金利逆転=景気後退説の投資における敗北 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/07/22
  • 中国リオープンは存在しなかったことを確認 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    パンデミックが明けた中国経済のリオープンは2023年の一大テーマになるとされてきたが、その失速が明らかになってきている。リオープンがインフレを輸出するなどという話もあったが、現実には消費者物価(CPI)は前年比でわずか +0.1%、生産者物価(PPI)は -3.6%と、中国は急速にデフレーションに向かいつつある。パンデミック後の世界の大半でインフレが続いているのとは全く異なる光景である。2020年頃からのブログの読者であれば、パンデミック中に主要経済体の中で中国だけがほとんど給付金を大々的に配らなかった(移転所得がなかった)ため、中国だけは余剰貯蓄が少なく消費と物価が戻らずむしろデフレを輸出すると何度も主張してきたのが記憶が残っているだろう。これはリオープンしたところで変わらない。逆に物価変動、特にインフレがいかに給付金(移転所得)のみによって規定されるかも、先進国と中国との比較で答えが

    中国リオープンは存在しなかったことを確認 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/07/22
    事実陳列罪でリフレ派の怒りが有頂天 ”物価変動、特にインフレがいかに給付金(移転所得)のみによって規定されるか、先進国と中国との比較で答えが出たようなものである。”
  • ポストコロナに供給過多デフレに陥りつつある中国 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    一足先にCOVID 19対策の経済活動停止から脱却した中国経済について、久々にアップデートしてみたいと思う。同日に発表されることが多く何かと比較されることが多い中国の鉱工業生産と小売売上高は、ロックダウン明けに鉱工業生産の方がさっさとプラス成長に戻っているのに対し、小売売上高の戻りは鈍いという対照的な図となっている。公式失業率はほとんど伸びていないものの、個人経営ビジネスへの打撃などで明らかに人民の所得が激減しているし、米国のように大盤振る舞いなばら撒きが行われているわけではないので、当然買い物どころではない。GSの消費者活動トラッカーも消費活動が戻りきれていないことを示唆している。もっとも資生堂のようにリベンジ消費でコロナ前への完全回復を見ている声もある。 財新サービス業PMIがパッとしないのも同じ示唆を示している。MarkitPMIの質問票は「前月比」で改善・悪化を問うている。従って

    ポストコロナに供給過多デフレに陥りつつある中国 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/07/22
    そのような指摘は当たらない。 デフレは貨幣現象。中央銀行がマネタリーベースをアレすれば忽ち(概ね2年間)で脱却できる。日銀を免責擁護しようとするこみんてるんのいんぼうをゆるすな
  • 中国の失業者数を再び推測する : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    中国のパンデミック後の雇用情勢について既に一度ふんわりとは触れたが、ちょうど定量的に試算する論文がSNSで出回ったので取り上げてみたいと思う。著者は「王明遠」氏であり、北京改革発展研究会の研究員である。つまりアカデミックな人間であり、この論文には政治的な意図はない。前回のパンデミック直後には中泰証券のレポートを引用しており、あの時は7,000万人の失業者がいると結論付けていたが、あれからリオープンを経て何か変わったのだろうか。緑色は引用である。 歴史的に穴だらけの失業統計 歴史的に「政府工作報告」ではオフィシャル失業率に都市部登記失業率を用いていたが、2018年以降はこれを調査失業率に置き換えた。登記失業率があまりにも使えないので調査失業率へのシフトは大きな進歩であったが、調査失業率にも欠点がある。例えば2023年4月の全国都市部調査失業率は5.1%でしかなく、パンデミック前の2019年と

    中国の失業者数を再び推測する : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
  • 植田日銀はYCCチャレンジを煙に巻いて撃退 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    前回の記事で植田新総裁を紹介した後、3/10に黒田総裁の下で最後となる金融政策決定会合が行われた。前回の記事では「黒田体制ほど方針転換ありきで鳴り物入りでノミネートされたわけでないなら、最初の会合で劇的な方針転換を打ち出すのは難しい。バックファイヤーしづらいにもかかわらず決定まで時間がかかるのは最悪なので、論理的な帰結として黒田日銀の間に3月にYCCをさっさと撤廃した方が合理的」とべき論を述べつつも、「日銀はまだ全てのせこい戦術を使い切っておらず、3月会合で負けを認めるのは悔しさが残る。現実問題、国債市場を暴落させた状態で次期総裁にバトンタッチするのもまた好ましくないに決まっている。3月会合で何か政策変更があるとしてもそれは再び共担オペと似たようなカテゴリーのせこい戦術とのセットになるはずで、いわゆるYCC修正トレードにとって3月会合は最後の関門になる。暁の直前に倒れるのはどちらになるか」

    植田日銀はYCCチャレンジを煙に巻いて撃退 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/06/01
    「その間に()始めるという可能性もゼロではない」とわざわざ言明しているにもかかわらず、前任者のように実弾を投入せず、強い言葉さえも用いないまま植田総裁はYCC早期撤廃期待をボロボロに剥落させることに成功
  • 中国の個人消費は引続き弱い上に二極分化 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    ピクテ・アセットマネジメントが図で示したように中国の諸経済指標は引続き生産、投資系が全戻しする中で個人消費だけが戻りきれない状態が続いている。ブログはコロナショック以来「中泰証券が中国失業率の闇を突っついてしまう」「ポストコロナに供給過多デフレに陥りつつある中国」「中国がインフラ投資主導の刺激策に立ち戻る模様」で一貫して中国政府の回復に向けた政策が企業偏重、投資偏重であり西側諸国と比べて個人向けの支援策が足りないことを取り上げてきた。 中国は主要国で唯一、大規模な失業給付積み増しも家計への給付金支払いも行わなかった経済体である。個人向けの支援策が弱いなら当然消費も弱い。9月小売売上高は前年同月比+3.3%と市場予想の+1.6%こそ上回ったが、1-9月の累計で見ると-7.2%と依然深いマイナスである。もっとも10月の大型連休中の消費は堅調だったらしいので今後盛り返すという予想もある。 高額

    中国の個人消費は引続き弱い上に二極分化 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/05/24
    2020 中国は主要国で唯一、大規模な失業給付積み増しも家計への給付金支払いも行わなかった経済体である。個人向けの支援策が弱いなら当然消費も弱い。
  • 誰?な植田次期日銀総裁とYCCの余命 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    最後まで決まらなかった日銀の次期総裁がようやく発表された。元々2/10に発表予定だったものが2/14に延期になり、そして結局2/10午後に「日銀新総裁に植田和男氏を起用へ 初の学者、元審議委員」というヘッドラインでリークが流れた。市場参加者の反応はまず数日前に日経が既に「リーク」した筆頭候補の雨宮氏でなかったところにサプライズを感じて円高が進み、ただ(山口氏のケースと違って)政策変更を直ちに意味する人事ではないと分かったところで全戻しした。 植田教授は直前まで候補には全く上がっておらず、(ダークホースになりそうな予感がしたのか)明らかに関係ない人まで何人も候補を並べた観測記事でさえ触れることがなかったネームだったため、ファーストリアクションは「誰」であった。経済学部出身なら知っているべき学者とされているが、非経済学部出身のブログには当然「そういうゼミがどうもあったようである」程度の認識し

    誰?な植田次期日銀総裁とYCCの余命 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/03/10
    ”マクロ的にはYCCの撤廃は大したイベントにならない” そのような指摘は当たらない。 YCC撤廃はリフレ政策の終焉であり日本滅亡の序曲。YCC=リフレを維持しなければ花は枯れ鳥は空を捨て人々は微笑みなくすだろう
  • ジャクソンホールはあくまでも息の長い話 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    8/27にジャクソンホールでパウエル議長が今後数十年間の金融政策の行方を示唆する重要な講演を行った。雇用、物価というFedのダブルマンデートの両輪それぞれについて総括と新枠組みが提示された。またその新たな枠組みは9/16のFOMC声明文に落とし込まれている。 ジャクソンホール講演はまずリーマンショックに始まり数ヶ月前に終わった前サイクルを以下の4点にまとめている。 1) これまでの数十年と比べても人口動態などを背景に長期的な潜在成長率が低下 (FOMCメンバーの推定中間値は2012年の2.5%から1.8%へ) 2) 自然利子率(中立金利、均衡実質金利)も低下 (FOMCメンバーの推定中間値は2012年の4.25%から2.5%へ) 3) 一方、前サイクルにおける雇用情勢は事前の予想よりも遥かに堅調なものとなった 4) にもかかわらず2%インフレが継続的に達成されることはなかった (俗に言うフ

    ジャクソンホールはあくまでも息の長い話 : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/02/05
    (2020.9)”雇用が改善するとすぐ引き締めたがるのは「ボルカーのインフレ退治」から始まった慣習であり、この実に40年間にわたる、最大雇用を妨げてきた慣習が今回の修正によってなくなりそう” NAIRU! NAIRU!
  • 1970年代とのあまりもの共通点の無さについて : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍

    パンデミック後の一時的な(Transitory)インフレが何とか鎮火に向かいつつある中、それでもFedは引締めスタンスを変えないと主張する際にちょいちょい持ち出されるのはGreat Inflationとも呼ばれる1970年代のインフレの前例である。これはジャクソン・ホールでのパウエル総裁のスピーチでも登場しているし、1970年代のインフレ退治失敗の背後霊は今サイクルの引締めに纏わりつき続けている。この記事では1970〜1980年代の米国のインフレ退治を振り返ると共に今との共通点を点検していく。 1970年代とは 1970年代のインフレの根源はベトナム戦争と米ドルの信認の揺らぎ、そして二度の石油ショックである。ベトナム戦争は数百万人の動員、巨額の戦費と南ベトナムへの経済支援を通して米国の財政と生産能力を圧迫した。ジョンソン政権は戦費を増税によって賄おうともせず米国の「双子の赤字」体制が定着し

    1970年代とのあまりもの共通点の無さについて : 炭鉱のカナリア、炭鉱の龍
    maturi
    maturi 2023/02/05
    ”30年経った今、中央銀行がマネタリーベースを膨らませることによってマネーサプライを増やすことも、インフレを人為的に作ることもできないことが実証されている” 2013年時点では証明されていなかったのでセーフ