「自分の身は自分で守れ(Every Man for Himself)」という論文の存在を、一体どれだけの人が知っているだろうか? これはスウェーデン・ウプサラ大学の二人の学者が2012年に発表した海難事故における生存レポート。3世紀にわたる18の海難事故の事例を検証しており、対象人数は30以上の国の15,000人にも及ぶ。 興味深いことに、この調査が明らかにしたのは「男性の生存率は女性の2倍以上で、乗客よりも船長や船員のほうが多く生き残っている」という事実。つまり、タイタニック号の事例のような「女性と子どもを先に助ける勇敢な男性像」は、現実とかけ離れた全くの幻想ということになる。 この論文をもとに、スウェーデンのリューベン・オストルンド監督が撮影した映画が、7月4日(土)から日本で公開される。外国語映画賞最多15冠を受賞し、全米を席巻した話題作『フレンチアルプスで起きたこと』だ。 主人公は